まわりから「素直でいい子」と言われますが、本当は違います。でも、反発もできず「いい子」になってしまっている自分がいやでたまりません。どうしたらいいでしょうか。

回答者 太田一徹さん(北海道子どもセンター研究員)

  正直に自分の気持ちを伝えてくれてありがとう。きっと同じような思いで悩んでいる人は少なくないと思います。
 親や先生は、「素直でいい子」を期待しがちです。どうしてなのでしょう。親や大人にとって「いい子」というとき、「手がかからない子」「言ったことは文句を言わずにちゃんとする子」というニュアンスが含まれているのでしょう。だから、あなたには抵抗感があるのですね。「自分だって心の中ではそう思わないこともあるよ」と無言の声を上げているのです。
 もう一つ、子どものことを考えるからこそ「失敗させたくない」という親心かもしれません。もしかすると、あなた自身も心のどこかで失敗を恐れ、言うとおりにする方が楽だと感じているのかも。でもそういう自分でいることを、もう一人の自分が許せないのでしょう。
 あなたは大人に都合の「いい子」ではありません。心の中ではしっかりと自分を見つめ、自分の考えをもち、自己主張しているのですから。
 「素直」とは、「考え、態度、動作がまっすぐ」「ありのままで正直なこと」「心が純真さを失っていない」ということです。自分の心に「素直」だからこそ、悩んでいるのでしょう。
 でも「それは違う!」「やめて!」と反発できない自分が許せないのですね。
 大事なことは、「反発すること」ではなく、自分の考えを表明すること、伝えることです。黙っていては伝わりません。しかし、これを実行するのは簡単なことではありませんね。
 時には反発してもいいんじゃないですか。そこから大切なことが学べるかもしれません。間違うこと、失敗することも実はとても大事なことです。困った時は、親身に話を聞いてくれる人、受けとめてくれる人(友だち・家族・先生など)に相談すればいいのです。
 今までの自分を壊しながら新しい自分をつくりだしていく「第二の誕生」といわれる思春期、きっとあなたは今まで以上に「素直ですてきな人」になると思います。

 質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。