Q 私の幼い時にお母さんが死んで、ずっとお父さんと2人で暮らしてきましたが、今度お父さんが結婚することになりました。その人とお父さん、私の3人で何度か食事をしたり出かけたりしました。その人は優しくていい人のようなのですが…。私はその人のことを「お母さん」と呼べません。どうしたらよいのでしょう。
回答者 那須野郁子さん(北海道子どもセンター相談員)
A あなたの悩みを読み、かつての教え子のことが思い浮かびました。いつも元気満々、声の大きさはクラス一だった小2のA君。新しいお父さんと暮らすのを楽しみにしていたのに、その日が近づいた時にチック症状が始まったのです。
お母さんが突然病気で亡くなった小3のB子ちゃんは、夜になるとお母さんに会いたくなり、しくしく泣く日が続きました。寂しくて寂しくて新しいお母さんが今すぐ欲しいと思っていたのに、その日が近づくと不安になったのです。
A君は、おばあちゃんから亡くなったお父さんとの小さい頃の思い出をいっぱい聞き、そのことを何回も作文に書くと気持ちが落ち着きました。B子ちゃんは「心の中のお母さんにサヨナラしたい」と胸のあたりで手でバイバイしていた時に、大好きなお父さんに「おまえには、お母さんが2人いるんだよ。わざわざ消すことはないんだ」と言われて安心したのです。
再婚はお父さんにとって決心のいることですが、あなたも心の中でいっぱい悩んでいるのですよね。今、新しい生活が始まるのでドキドキしているでしょう。あなたも感じているように、新しいお母さんが嫌なわけではないのに、なんだかモヤモヤしてしまうのですね。「無理をしなくてもいいんだよ。今まで通りに過ごしていいんだよ」とあなたに伝えたいです。
一緒に暮らしていると、特別に「お母さん」と呼ばなくても、物事は進んでいきます。そのうち「お母さん」と呼べる日がきっと来ます。その人も(「お母さん」と呼ばれることよりも)あなたといろいろなことを話しながら暮らせることを一番望んでいると思います。大丈夫です。クラスの中に新しい友だちができ、一緒に遊んでいるうちにいつのまにか「〇〇ちゃん」と呼び合うようになるのと同じなのです。
質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。