この春小学校に入学した息子が、朝学校に行きたくないと言い出しました。理由もはっきりしません。幼稚園時代は、こういうことがなかったので不安です。

回答者 川田学さん
(北海道大学大学院教育学研究院付属子ども発達臨床研究センター准教授)

  4月、真新しいランドセルを背負って登校するうしろ姿を見送りながら、多くの保護者が子どもの成長を感じたことでしょう。そんなわが子が、学校に行きたくないと言い出したら、戸惑わない親はいないと思います。何か嫌なことでもあったのだろうか、いじめられていないか、先生と合わないのではないか…。子どもにストレートに理由をきいてもいいのか、迷う場合もしばしばです。
 低学年の子が学校に行き渋るとき、最初に考えたいのは、環境変化による心身の疲労やストレスです。一般に、幼いほど自分の心身状態をチェックする力が弱く、無意識のうちに限界を超えて頑張りすぎる子も多くいます。幼稚園までと違い、学校は空間的にも時間的にも、自分のペースに合わせてくれません。小さな頑張りが続くことで、疲労が積もってしまうのです。嫌なことだけでなく、楽しいことや面白いことも、ストレスになっていることがあります。
 入学後のあわただしさが過ぎた頃に腹痛や頭痛、元気がない様子、登校渋りなどがあらわれるのはおかしなことではありません。子どもの心身が休息を求めているのです。休むことに罪悪感を持つ子もいるので、元気が出なくなったら休んでいいんだよと伝えて受け止め、穏やかに休息を取り、胃腸にやさしい食事を用意するなどして養生させるのが基本です。ゲームやテレビの視聴も、控えめに。
 小学校は幼児教育までと違い、保護者と先生の距離感があります。ただ、気になることがあったら、電話や連絡帳などでの相談をためらわない方が良いでしょう。学校での様子をきくだけでも、安心材料になります。5月の連休明けも、子どもが行き渋ることがあります。連休中の疲れや里心の芽ばえが、新しい環境に戻ることをためらわせるのだと思います。学校の前日は疲れないようにゆったり過ごせると良いですね。
 これから運動会などの行事もあります。いつもと違う日課になるときは、子どもへのアンテナの感度を少し高めに設定できたらと思います。

 質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。