友人に彼氏のことで相談されました。アルバイト先で知り合った大学生で、付き合って半年です。最初はそうでもなかったのですが、最近はラインにすぐに返事をしないと強く責められる、会うたびにスマホをチェックされるなど、束縛が強くなっているそうです。詳しいことは話してもらえないのですが、性的なことを強要されることもあるようです。本人は交際をやめたいと思う一方、好きだという気持ちもあるようです。また別れると言うと彼氏がひどく怒りそうで怖いとも感じていて、揺れています。私に何ができるでしょうか。

回答者 松本伊智朗さん
(北海道大学大学院教育学研究院付属子ども発達臨床研究センター長)

  友人を思う気持ちに敬意を表します。あなたが感じているように、その男性との関係は友人にとって良いものではありません。束縛するのは好きだからと言われているかもしれませんが、そうでしょうか。その男性は友人を大切にしていません。友人の意志や自由を尊重していないからです。むしろ友人を「自分のモノ」のように扱って、自分の意志や欲求に従わせたいのだと思います。相手を従わせるために不当に使われる力は、「暴力」です。夫婦や恋人など親密な関係の中で起こる暴力を、DV(ドメスティックバイオレンス)といいます。そのうち交際相手からのDVを、「デートDV」と呼んでいます。友人は、デートDVの被害者だと考えてよいだろうと思います。
 DVの解決は、簡単ではありません。親密な関係の中で起こるので、外からは分かりにくく、被害者の気持ちも揺れるからです。自分が悪いとあきらめている人、恥ずかしくて人に知られたくないと考えている人も多くいます。そう考えると、友人があなたに相談できたということは、とても大きなことです。
 まず友人に、相談してくれた勇気に感謝したうえで、その男性がしていることはDVで交際をやめるべきだと、明確に伝えてください。次に、友人と一緒に身近な大人に相談してください。暴力に対応するときに大事なことは、孤立しないで味方を増やすことです。
 専門の窓口への相談も、大事な選択肢です。北海道や札幌市のホームページで、相談先を知ることができます。自分たちだけで抱え込まず、大人や専門家の知恵と力を借りることを、ためらわないでください。

 質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。