小学校5年生の後半から女っぽい身体になるのがとても嫌で、いつもシャツとズボンという服装でスカートをはいたことがありません。最近、友だちに「女のくせに男みたいでキモい」とからかわれ、学校へ行けなくなってしまいました。ふと思い当たることがあって、心と身体の性が一致しない「性同一性障害」について調べてみたら、つじつまの合うことが多いのです。どうしたらよいでしょうか。

回答者 池内省子さん(北海道子どもセンター相談員)

  あなたからの質問を見て、私は、かつて養護教諭として小学校の保健室に勤務していた時のことを思い浮かべました。2学期の始業式の日に、5年生の女の子が転入してきました。勉強もスポーツもよくできる元気な女の子でしたが、口調の強い言動が目立ったので、からかわれたりいじめられたりして、体調を崩し、「保健室登校」になりました。
 思春期と言われる第2次性徴期を迎え、その子は身体的性別と自分の性の不一致で悩んでいたのです。その時は性別違和感についてあまりよく知られていなかったので、ただその子に寄り添い見守ることしかできませんでした。
 人は生まれた時に女と男に区別されますが、成長するにつれて自分の性別に違和感を抱いたり苦痛を感じる人がいるのです。人の数だけ性はあるという研究者がいるように、人の性には多様性があるのです。
 学校は男女別に行動する場合や場面が多いし、男らしさや女らしさが強要されることもありますよね。プール学習や内科検診の時の着替え、宿泊学習の時の入浴などに苦痛や戸惑いを感じると思います。そんな時、自分の性に違和感を持っている子は自尊心を傷つけられやすいのです。
 今の学校は性的マイノリティー(少数者)についての理解が深まってきています。制服やトイレ、更衣室などについても配慮されるようになりつつあります。性別にとらわれない人間としての生き方を学ぶことが大切にされ始めています。
 家での充電期間が終わったら、勇気を出して学校へ行って学級担任や養護教諭、スクールカウンセラーの先生に会ってみてください。こころのセンターや思春期外来などの専門機関の紹介があるかもしれません。行動すれば希望の光が見えてきますよ。

 質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。