最近、娘が学校を休むようになりました。担任の先生が時間をみつけては、家庭訪問に来てくれるのですが、本人は会いたがりません。どうすればよいのか、悩みます。

回答者 加藤弘通さん
(北海道大学大学院教育学研究院付属子ども発達臨床研究センター准教授)

  心配でしょうが、子どもの気持ちを優先するのが大切です。ところで、家庭訪問については、お子さんにアポイントメントを取っていますか。私たちが以前に行った調査では、不登校のお子さんが「先生が家に来たときに会うか会わないか」と、きちんと子どもにアポをとっているかどうかは関連が強いということでした。
 つまり、いったいどんな用事でいつ来るのか、何分ぐらい会う必要があるのかなどをお子さんに事前に丁寧に伝え調整をすることが、先生がお子さんと会うための一つの鍵といえます。
 当たり前の話ですが、大人だって、アポなしで突然やって来て、どれだけ居座るかも分からない人に対し、ドアを開ける人は少ないと思います。ところが不登校の場合、保護者も先生も、どこかで「どうせ、いつも家に居るのだから」「忙しい中、先生が時間を割いてくれているのだから」と、事前に子どもからのアポ取りを丁寧にしないということがしばしば起きます。
 もちろん、アポをとっても、なお先生に会いたがらないという場合もあると思います。そのときは、本人の気持ちが整うのを待つしかありません。
 しかしその場合も、丁寧にアポ取りをしようとする姿勢は、子どもに対して、「先生や保護者は、あなたの気持ちを大切にしているよ」というメッセージを伝えることにもなります。逆に、アポも取らずに、強引に会おうとすることは、子どもにあなたのことを軽く見ているというメッセージを、意図せず伝えてしまうことになるかもしれません。
 不登校のお子さんは休むようになるまで、周りに自分を必死に合わせて疲れている場合も多いです。だからこそ、休むようになった後は、周りが子どもに合わせるということが大切になります。保護者の方の不安も大きく、何かせねばという気持ちが強くなることもあると思いますが、まずは子どもの声に耳を傾けるというところからはじめてはいかがでしょうか。

 質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。