東日本大震災15年*「最後だとわかっていたなら」*岩手日報の広告 教材に*別れは突然 悔いなく生きて
掲載日:2026.04.27
東日本大震災から15年の月日が流れた。2017年から毎年、地震発生の3月11日に企画広告「最後だとわかっていたなら」を掲載する岩手日報社(盛岡市)は、この広告を教材化した「最後だとわかっていたなら教育プログラム」をホームページで公開している。この広告を活用して道徳の授業を続けてきた佐賀県多久市立東原庠舎(とうげんしょうしゃ)東部校特任指導教諭の光武正夫さん(60)と同社などが共同開発した。光武さんはプログラムがさらに普及し「一人でも多くの子どもたちが日々、身近な人たちを大事にし、今日を大切に過ごすこと」を願っている。
![]() 東日本大震災にちなんだ広告企画を教材に模擬授業をする光武正夫さん(中央)=3月7日、佐賀市 |
![]() 今年の別刷り広告に再掲された18年の広告紙面「大切な人を想う日 風の電話篇」 |
初回の広告は2ページ、18年に3ページとなった後は見開きを含む4ページで続いてきた。節目の今年は別刷り16ページ。プログラムの指導案や18~25年の広告紙面をセットにして発行した。
光武さんはこの広告を使って18年に授業を始めた。その取り組みは全国に広まり、同社は「教育現場において、この新聞広告や映像が『よりよく生きること。家族や友人など大切な人へ感謝を伝えることの大切さ』を学ぶためのツールとして、活用されていると知り」教材化した。
プログラムの公開は25年3月11日から。教材となる1分30秒~2分ほどの動画23本には、岩手県大槌町の電話線がつながっていない電話ボックスから、二度と話せない人へ風に乗せて声を届ける「風の電話篇(へん)」や「最後の言葉篇」、遺族が語る「大切な人と今日話そう。」などが用意されている。
光武さんが実施しているモデルケース=図=では、児童生徒は授業の前に災害に関する予習をし、授業当日は動画を見てから保護者への手紙を書いたり、今後どう生きたいかを記述したりする。授業後のプラスアルファとして《9》以下の取り組みもある。児童生徒の家庭環境に配慮し、学校や学級の実態に合わせてプログラムをアレンジする。
授業やセミナーでプログラムを体験した多くの児童生徒、保護者らは涙し「日頃から感謝を伝える大切さ、明日が来ることが当たり前ではないということを感じました」「一日一日をよく生きていきたい」などの感想を寄せている。
光武さんは「災害でなくても家族や大切な人との別れは突然やってくる。児童生徒や家族の後悔を少しでも低減したいという願いが授業の根底にあり、児童生徒や家族、先生や地域の人たちが『よりよく生きる』ことを考え続けるきっかけにしたい。北海道でもこの教育プログラムを使った北海道ならではのNIEに期待する」としている。
岩手日報社は学校への無償提供用に、別刷り広告1万部を別途発行。3月11日朝刊などで告知すると全国から反応があり、翌日には予備用の数百部を残し全て発送した。プログラムに関する問い合わせは同社ビジネス開発部、電話019・653・4119かメール(omouhi311@iwate-np.co.jp)へ。(福元久幸)
◇「最後だとわかっていたなら」◇
米国人女性ノーマ・コーネット・マレックさんの詩。10歳の長男を突然の事故で亡くした悲しみの中で「あなたが眠りにつくのを見るのが最後だとわかっていたら…」(訳・佐川睦)と、大切な人への思いをつづった。9・11米中枢同時テロの追悼集会で朗読され世界中に広まった。


