<NIE授業 新時代>中学1年社会科地理的分野・人々の生活と環境*他文化に親しみと理解*新ひだか町立静内第三中・川上知子教諭
掲載日:2026.04.27
中学校社会科の地理的分野「人々の生活と環境」の学習を紹介します。この学習では世界各地の色彩豊かな写真資料がたくさん登場します。その比較から自然環境の特色を読み取り、人々の生活の工夫や暮らしの変化を自然環境と関連付けながら考察します。
グローバル化が進み、国際理解の必要性が一層高まる現代において、文化の多様性を尊重する意識や態度を身に付けることは、生徒に育んでほしい資質・能力です。一つの事例から地域全体の特徴を捉えてしまわないように、さまざまな資料に触れさせることも重要です。その方法の一つが新聞の活用です。
東京書籍の教科書では「雪と氷の中で暮らす人々」から学習が始まります。一年の大半が雪と氷に覆われた地域の暮らしでは、犬ぞりやスノーモービルで移動する生活や生肉を食べるイヌイットの伝統的な食事の写真資料が並びます。さらに教科書では寒帯の位置や自然、イヌイットの暮らしの知恵や変化を学習していきます。
中学校で地理を学び始めた1年生は、これらの情報からどのような感想や疑問を抱くのでしょうか。生徒の感想を受け止めながら「人々は自然と関わりながらどのように暮らしを楽しんでいるのだろうか」「伝統的な生活を続けることや、それを次の世代へ伝えることにはどのような意味があるのだろうか」といった問いに収束させます。
問いを立て、それを探求する学習を積み重ねることで、さまざまな視角から世界や日本の姿を柔軟に捉える思考力を身に付けられます。
狩猟を中心とする伝統的な生活を守る人や、イグルー(雪をれんが状に積み上げたドーム形の住居)のホテル経営で観光業に力を入れている人の声など、さまざまな新聞記事を読むことで、教科書の中だけの話に思えていた現実が、ぐっと身近に感じられるようになります。それは、その地域に生きる人々への親しみや、多様な価値観への理解を広げるきっかけになると考えられます。
新聞記事の入手には、記事データベースを活用します。データベースは授業のテーマをキーワードに、関係する資料が集められるのでとても便利です。総合デジタル教材「どうしんまなbell(べる)」は、約35年分の北海道新聞記事を収録した記事データベース検索のほか、毎日の朝刊1面や児童生徒向けに厳選したおすすめニュースも読むことができます。
今回、データベースで検索できた「解凍止まらぬ北極圏」(2007年1月1日)の記事では、地球温暖化で氷床が縮小してきている自然環境の変化や、大切に受け継いできた狩猟の知恵を自分の子どもたちに伝えていけるのかと不安を感じている父親の声が紹介されています。
このように、新聞記事データベースを活用した資料に触れることで、生徒が主体的に課題を捉え、他者との対話を通して考えを深めながら、よりよい学びへとつなげることができます。

「イヌイット」のキーワードで検索した記事の見出しが並んだデータベース画面
