進路学活の授業の後で、先生がみんなに「尊敬できる人はいますか」と尋ねました。結構多くの人たちが「いる」と答えていました。でも僕には尊敬する人はいません。尊敬する人はいた方が良いのでしょうか?

回答者 橋本尚典さん(北海道子どもセンター研究員)

  私は「どうして?」とか「このままでいいのかな?」と悩むことは、大切なことだと思います。その意味で「尊敬する人は必要なの」と素朴な疑問を持ったあなたは素晴らしいと思います。これからも、悩んだり考えたりすることを大切にしてほしいと思います。
 さて「尊敬する」とは中学生の頃に疑問に思うことの一つかもしれませんね。周りの人たちはどんな人たちを挙げていますか? 有名なスポーツ選手とか俳優でしょうか。あるいは部活の先輩や自分の両親や兄弟でしょうか。
 尊敬するとは、単にその人が好きだとかすごいとかではなく、その人が大切にしている考えや、努力の過程をみて、その素晴らしさを大切に思う気持ちだと思います。
 結果や才能だけでなく、どう物事に向き合っているかという姿勢に心を動かされるのが、尊敬するということだと思います。中学生や高校生の頃、そうした人を自分の中に取り込むことは大切です。目標に向けて努力をすることで自分が形づくられていきます。
 少し難しい話ですが、発達心理学という学問の中では、思春期に自己形成モデルを持つことにより、アイデンティティーが形成されると言われています。
 私も中学生の頃たった1年間担任をしてもらっただけですが「タマゴマンは中学生」を書いた坂本勤先生と出会いました。あんな人になりたいと思いました。
 その後、私は中学校の先生になり、坂本先生だったらこんな時どんなことを言うのかなとか、どんな指導をするのかなと思いながら教師を続けてきました。
 自分を形成する時に「こんなふうになりたい」と思えるモデルがいると、自然に生き方も定まってくるものです。でも具体的な人物像がなくても「自分はどんな生き方をしたいのか」と考え続けることが大切です。これをきっかけに「尊敬する」と「憧れる」の違いも考えていってほしいと思います。

 小中高生や大学生、保護者の悩みと、解決に向けた考え方を過去の相談事例などをもとに紹介します。