3月生まれの子の母親です。早生まれの子は成績が良くないと交流サイト(SNS)で見ましたが、本当なのでしょうか。新年度から小学生なので少し気になっています。

回答者 大谷和大さん(北海道大学大学院教育学研究院講師)

  近年の研究では、生まれ月による成績への影響は程度の差こそあれ存在しています。一般的には遅生まれ(4〜12月生まれ)は早生まれ(1〜3月生まれ)に比べ、学力テストなどの点数が高いことが言われているようです。
 実は、この差が生まれる原因は思い込みによるものです。義務教育が始まる6歳頃の子どもは、月齢による差がいろいろな面で顕著です。この頃、同学年でも4月生まれの子と3月生まれの子とでは、体格からして大きな差がありますね。
 認知的な発達にも同様に月齢差が大きい状況です。その中で一斉に勉強も始まるので、遅生まれの子たちが難なくできることでも、早生まれの子たちは時間がかかったりうまくできなかったりすることが当然出てきます。こうした経験が刷り込まれていくことで「自分は勉強があまり得意ではないかも」という自己認識(自己概念)が形成されてゆきます。
 当然、月齢による生物学的な差は高学年ぐらいになると徐々に消滅していき、実際に成績の差もかなり縮まるようです。しかし、こうした刷り込みが原因で完全にはその差が埋まりにくいのです。
 つまり、自分は勉強が苦手だと思っていると勉強する気もなかなか起きにくくなり、結果的に学力差が生まれてしまうわけです。日本のスポーツ選手の生まれ月をみると、遅生まれの選手が多いことが知られているようですが、これも同じ例だといえます。
 ちなみに、冒頭の月齢による成績の差は0ではないというだけで、ごくごく小さな差です。親や周囲がこうした生まれ月の効果を信じていると、子どももその思い込みの影響を受けて本当にそうなってしまう恐れもあります。なので周りの大人は過度に気にせず、必要に応じて学習をサポートする、お子さん自身は自分のできる範囲で頑張って勉強することを心掛けるのがよいのではないでしょうか。

 質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。