上川管内上川町の上川高2年生が町内4事業所で職業体験を行い、取材と執筆に携わった「上川ミライ新聞」2万部が今夏、町内で発行された。層雲峡での本格的な温泉事業開始から100年を迎え、町や層雲峡観光協会などでつくる実行委が主催する記念事業の一環。生徒の職業体験記や佐藤芳治町長との座談会の内容などを掲載している。

完成した上川ミライ新聞を手に「将来はホテルかスポーツ関係の就職を考えている」と話す沼田さん

上川大雪酒造を訪れて職業体験する上川高2年生のグループ

 記念新聞はタブロイド判オールカラー4ページで無料。生徒23人が、4グループに分かれて町内で取材した記事は「上川町 ミライノカダイ」と題した見開きページに並ぶ。
 上川大雪酒造、層雲峡ビジターセンター、ホテル大雪と大雪森のガーデンで職業体験をした際の写真や各事業所の課題、その解決策などを約800字で紹介した。ビジターセンターを訪れたグループの記事では層雲峡について「自然が豊富ですが、観光客を楽しませる散策路や体験ツアーなどが少ないことが課題」と指摘している。
 ホテル大雪を担当した沼田優介さん(16)は「初めて入ったホテルの部屋や廊下から見る周辺の山の美しさが印象的だった。売店の品出し作業では緊張して手が震え、缶ビールを三つも落としてへこませてしまった」と振り返った。取材・執筆は「聞き取ったことを文章にするのが難しく、キーワードを絞り込んでつなぎ合わせ、何度も書き直して仕上げた」。
 佐藤町長との座談会内容を紹介したインタビュー形式の記事は、最終ページに掲載した。生徒たちは町の将来や観光客誘致の取り組みなど4点について質問。林業による地域活性化や上川医療センター開設による地域医療の環境改善、マウンテンバイクコースの整備計画などに関する町長の考えを報告している。
 今回の新聞製作は今春から準備を進め、8月7日に発行した。
 この事業を担当してきた同校の森長大輔教諭(40)は「自分の思いや考えを言語化する難しさをグループで協力して乗り越えてくれたと思う。将来に向けた高校生なりの提言も盛り込めて良かった」と喜んでいる。
 上川ミライ新聞は、現在も町役場などで配布されている。(伊勢裕太、福元久幸)