卒業式で「将来の夢」を話すことになっています。でも今「やりたい」と思えることがありません。4年生の総合的な学習の時間で取り組んだ「二分の一成人式」でも同じことで悩みました。こんなことで将来大丈夫かな、と不安です。

回答者 長谷川敏之さん(北海道子どもセンター研究員)

  あなたの気持ちはよくわかります。私は子どもの頃は学校で友達と遊んだり、家で何となく過ごしたりしていました。たまに興味を持つことがあっても、それはその時だけです。そんな私からすると、将来について悩むあなたはとても大人だと思います。でも、あまり急がなくてもよいのではないでしょうか。
 将来の生き方を考えたり、学んだことを将来に生かしたりするのはもちろん大切なことですが、子どものうちから強調されると焦ってしまいますね。子どもには子ども時代にしかできないことがたくさんあります。自由に夢を見ることや思いっ切り楽しむことなどです。失敗することがあってもいいし、友達とのけんかもいい経験です。それなのに、その「子ども期」がせかされすぎて、なくなってきているのではないか、と私は心配しています。
 「夢」を「面白そうなこと」と考えてはどうでしょう。昨年、ノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎博士は、「何だろう? やってみたいな!」というような好奇心が研究の原動力だったというのです。まずは身の回りのことや世の中の出来事などを自由な気持ちで見つめてみましょう。興味の対象がすぐに変わっても問題はありません。子どもの今だからこそ自由に考えていいのです。身近なことから「将来の夢」が見つかるかもしれません。
 これから大人になるにつれて「自分は将来、どんな仕事をするのかな?」と悩むでしょう。でも職業の選び方は人それぞれです。以前にテレビのドキュメンタリー番組で見ましたが、宇宙が大好きでプラネタリウム製作者になった人がいました。親の働く姿を見て家業を継ぐ人も多いし、病気を治してもらったのをきっかけに医師や看護師を目指す人もいるでしょう。
 ぜひ子ども時代の今を楽しみながら、自由な気持ちで将来を考えてほしいと思います。

 質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。