学校の授業で、男女差別のことを教わった。だけど今の僕らは、男女差別なんて、する気もない。男女差別はこれまでの大人たちの問題なんだから、それを僕らへ押し付けないでほしい。

回答者 市原純さん(北海道大学大学院教育学研究院非常勤研究員)

  確かに。男女差別はまず、大人たちの問題です。男女格差を測る数値(ジェンダーギャップ指数)の、2021年の日本の順位は156カ国中120位。日本では、政治家や会社の管理職など、組織のリーダー層に女性がとても少ない。女性の賃金は男性と比べて安く、子育てや介護の負担も、とても重い。子育てや介護をせずに長時間働く、かつての男性たちの働き方がいまだに残っており、それが女性たちを組織の意思決定の場から遠ざけたり、子育てや介護の負担を女性へ押し付けることへとつながっています。こうした社会の仕組みを、大人たちが変えていかなければなりません。
 ただ、実は差別って、差別する気があるかないか、という問題でもないのです。差別は、歴史と仕組みで生じます。特定の人々(例えば女性)が、日本社会の中で不当に不利益を被ってきた歴史があり、歴史は今へと連なっています。過去の経緯から、今でも差別的な仕組みが社会の中へ埋め込まれ続けているのです。
 あなたが大人になったときも、男女差別的な仕組みは日本社会に残っているでしょう。そこで生活する以上、あなたがする気はなくとも、男女差別と無関係ではいられません。平均賃金などを見ると、男女格差は少しずつ縮まってきています。ただ、勢いが全く足りていません。関心を持つ人が減ると、男女差別はさらに広がってしまうかもしれない。だからどうか、男女差別という問題への関心を持ち続けてほしいです。
 そして、あなたが大人に対して感じるいらだちも、まっとうだな、と思いました。差別の問題に、常に関心を持ち続け、自分のこれまでの経験と、そのときの自分の感覚も確かめる。この両方を往復し、そして、他の人の言葉も聞いて自身の考えを深め、差別解消の行動へつなげることが大切です。あなたたちの言葉を聞き、大人たちはどう考え、何をするかが問われている、と感じました。

 質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。