【設問のねらい】
・記事の内容を理解することができる。
・文章を読んで自分の考えをもつことができる。


【解答例】
(1)カ 北海道新聞社

(2)
例1)私は被災者の名前は、公表すべきではないと考える。なぜなら、今や名前は大きな個人情報であるからだ。
 例えば、何か大きな犯罪などが起きると、被害者の名前が報道される。その名前をもとに被害者の情報を集め、憶測も交えた情報を公開するネットサイトや、動画投稿などが発生する場合がある。被害者は、興味本位で正しくない情報を晒されることとなり、犯罪の二次被害を受ける可能性がある。
 もし、名前をもとに情報を検索され、それが本人に望まない形で広く世間に晒された場合、もしくは事実と異なる内容を広く流布された場合、誰がどのように責任を取るのであろうか。名前を知られることのリスクは高まってきている。
 もちろん、救助にあたる人たちの中で、被災者の名前を共有することは必要である。だが、社会全体に名前を公表するのは、リスクが大きいことである。被災者のその後の生活を考えるためにも、被災者の名前は公表すべきではないのだ。

例2)私は被災者の名前は、公表すべきだと考える。なぜなら、災害の現場において、最も大切なことは命を救うことであるからだ。
 大地震や大規模な土砂崩れが起きた際は、家も被害に遭い、どこに誰がいるかわからない状態となる。瓦礫の山の中で、救うべき人がどこにいるかどうかわからない状態では、救助は難航する。また、通信インフラが機能しなくなることで、安否が不明となる人も増大する。いわゆる「72時間の壁」を前に、救助する側は「誰を救うべきか」という問題は、逼迫した喫緊の課題となるのである。
 救助する側が「誰を救うべきか」を理解するためには、「誰が救われているのか」を知る必要がある。もし、被災者の氏名を公表すれば、救助する側がつかみきれていない「誰が救われているのか」という情報が集まってくる可能性もある。救助が速やかに最適な状態で進み、少しでも多くの命を救うためにも、被災者の氏名は公表すべきである。