中学1年の娘が学校のバスケットボール部に入っています。私も夫も学校の運動部に所属していたこともあり、家族ぐるみで娘をサポートしていくつもりです。ところが最近、2023年度から学校の部活を地域に移すという話を初めて聞きました。どういうことでしょうか。これまで通りの練習や試合ができるのか心配です。

回答者 崎田嘉寛さん(北海道大学大学院教育学研究院准教授)

  これは部活の「地域移行」と言われているもので、地元のスポーツ団体や専門企業が指導に当たるなどの内容です。道内でも試験的に取り組まれ始めました。バレーボール協会や文化協会が指導する例もあります。少年団活動が似たイメージでしょうか。
 文部科学省は「2023年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行を図るとともに、休日の部活動の指導を望まない教師が休日の部活動に従事しない」と2020年度に示していますが、今後より踏み込んだ提言が出そうです。
 「地域移行」はより専門的な指導や教師の負担軽減などが期待される半面、費用負担など課題もあり、具体的には教育委員会や学校が探っていくことになりますが、相談者のような保護者も地域の一員として考えておくことはあると思います。
 指導者や活動場所の確保への協力、増えるかもしれない部費への備えも重要ですが、それよりもこの機会にスポーツや運動部活動のあり方そのものを考えてみてはいかがですか。
 まずは、勝ちにこだわることがどれだけ重要かを考えてはどうでしょう。例えば今後、娘さんや他の生徒さんがけがをした場合、単に「戦力外」となることでよいのでしょうか。
 また最後に娘さんと一緒にスポーツを楽しんだのはいつのことでしょうか。恐らくかなり前のことではないですか。「地域移行」により、娘さんの世代、そしてその次の世代と一緒に楽しくスポーツができる場を準備できればすてきではないでしょうか。

 さきた・よしひろ 身体教育論。1976年福岡県行橋市生まれ。

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