小学校の英語は好きだったのに、中学になり英語の単語のつづりが覚えられず困っています。将来は英語を話す仕事がしたいと思っていましたが、英語が嫌いになりそうです。

回答者 関あゆみさん(北海道大学教育学部准教授)

  英語のつづりって難しいですよね。私も苦手で、いつもパソコンの辞書で確認しています。特に中学1年生の時に習った曜日や月の名前は、いまだに確認しないと正しく書けません。
 英語のつづりが難しい原因の一つは、文字と音の対応が複雑なことです。ひらがなやカタカナは同じ文字をいつも同じ読み方をしますね。「あ」はいつでも「ア」です。ところが、英語では同じ文字でも単語によってちがう読み方をします。AprilのAは「エイ」ですが、AppleのAは「ア(アとエの中間の音)」です。また同じ音をちがう文字で表すこともあります。同じ「クッ」の音でもcook, queen, schoolのように単語によってちがう文字を使います。また、日本語よりも一文字が表す音が小さいことも難しい原因です。ひらがなでは「た」と書く音を「t-a」と2文字で書きます。このため「タ」という音をより小さな音に分けなければいけません。このように、文字が表す音が小さく、文字と音の対応が複雑な言語は、読んだり書いたりするのが難しいのです。同じアルファベットを使うイタリア語などと比べても、英語は特に読み書きが難しい言語です。
 さらに、英語には不規則つづり、という、読みのルールに従わない単語があります。実は中学1年生で習うようなよく使う単語ほど、不規則つづりが多いのです。theとかyouもそうですし、曜日のWednesdayなどもそうです。英語を話す国の子どもは、まず基本的な読み方を習い、それからルールに従わない単語を覚えます。基本的な読み方を知らないのに、いきなり不規則つづりの単語を覚えないといけないのも、難しい原因だろうと思います。
 英語を話す国で育ちペラペラに話せる人の中にも、単語を正しくつづるのは難しいという人がいます。英単語を正しくつづれることと、英語が使えることは別だと思います。今、英単語のテストが苦手だとしても、将来、英語を使う仕事はできると思いますよ。

 質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。