新学期になって、クラスが落ち着かないです。授業中なのに大きな声でおしゃべりをしたり、授業に関係ないことをしている人がいて、先生がそれを注意するたびに授業が中断します。私は授業が好きなのですが、先生以外に誰も注意する人がいないので、「イヤだな」と思っても何もできません。

  ふざけている人がいて、そのせいで授業が何度も中断してしまうと、まじめにやっている自分がばからしく思えてきますよね。
 実は教育についての研究結果からは、「落ち着かないクラス」の生徒の大半は、そんなクラスの状況を「イヤだな」と思っていることが明らかになっています。と同時にそれらの生徒の大半は、自分は「イヤだな」と思っていても「自分以外の多くの人は、そうは思っていないだろう」と思っていることも明らかになっています。
 つまり「本当はみんなイヤだなと思っているのに、他のみんなはイヤだとは思っていないと思っている」、だから誰も何も言わないという状況が「落ち着かないクラス」では起きているのです。
 これが分かれば、いくつか取り得る手が考えられます。一つは、ちょっと勇気を出し「今のクラスって変じゃない?」という疑問を口に出すことです。もう一つは、先生にそれを言うことです。実は先生だって「何とかしよう」と思いつつも、生徒たちが何も言わないので「生徒たちはクラスの状況をそれほどイヤだと思っていない」と思っているのかもしれません。あなたの一つの行動が、クラスを変えるかもしれません。
 現代は何かと空気を読み合うことが求められます。しかし、研究から分かっていることは、気持ちの良い仲間関係や集団を維持するためには、ちょっとずつでも良いから、思っていることをきちんと口に出すことが大切だということです。(加藤弘通=北大大学院教育学研究院付属子ども発達臨床研究センター准教授)

 質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。