新型コロナウイルス感染症の拡大で、世の中は大きく変わると言う人もいます。私はそんな中でやっていけるのか、よくわかりません。漠然とした不安がだんだん大きくなってきたのですが…。

回答者 宮崎隆志さん(北大大学院教育研究院教授)

  先が見通せない時には、誰でも不安になります。目隠しをしたまま前へ進めと言われても足を踏み出せるものではありません。
 確かに、この数カ月の変化は劇的でした。遠隔形式の授業や会議が一気に定着し、その一方で、遠隔や非対人形式では遂行できない仕事は深刻なダメージを受けています。今回の感染症拡大の前から、AI・ICTやロボットの普及によって「今の子供たちの65%は、大学卒業時に、今は存在していない職業に就く」「今後10~20年で、雇用者の約47%の仕事が自動化される」といった研究者の予測が文部科学省の文書でも引用されていました。感染症拡大によって、もしかするとそのような傾向が強まるかもしれません。
 そうなると、時代の変化という「バス」に乗り遅れないために頑張らなければと思う人もいるでしょうが、「バス」停までダッシュできない人や、そもそもどの「バス」に乗ればいいのかわからない人もたくさんいます。焦燥感に耐えきれず専門家に救いを求める人も増えるかもしれません。
 でも、いったん立ち止まって考えてみてください。誰かが運転する「バス」に乗ることを強制され、専門家の指示に従わされる生き方って、何か変だと思いませんか。受け身ですよね。
 自分の人生なのに、なぜそんなに受動的にならないといけないのか? それは大事な問いです。私が私でありたいと願うことは当然であり、私たちの最も基本的な権利として尊重されています。「バス」に乗るという生き方をしなければ生きている資格がないなどと言われる筋合いはありません。「バス」を運転するのは私たちです。「バス」を創り出すのも私たちです。
 不安に打ちひしがれ、自分を責めるのではなく、同じような不安や疑問を持つ仲間と話しあい、社会を構成する一員として、積極的に発言してみましょう。必ず応えてくれる人たちが現れます。あなたの不安は、新しい社会をみんなで創るための宝物なのです。

 みやざき・たかし 専門は社会教育学。1958年大阪府出身

 質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。