小4の息子は漢字が苦手で、漢字テストはいつもひどい点です。何度書かせても覚えられないようです。そもそも漢字を覚える気持ちがないのか、練習の字もとても雑です。書き直すように注意すると、「うるさい」と怒り出します。どのように教えれば良いでしょうか。

回答者 関あゆみさん(北海道大学教育学部准教授)

  息子さんは「漢字が苦手」ということですが、「読むこと」と「書くこと」のどちらが苦手なのでしょうか。習った字を読むことはできていますか。
 漢字は読むよりも、書く方がずっと難しいものです。また、読むことは一度覚えるとなかなか忘れませんが、書くことはしばらく使わないと忘れやすいです。覚えるために必要な能力や記憶のしかたが異なるためです。ところで大人になった時、「漢字が読めない」と「書けない」のどちらが困るでしょうか。「読めないこと」ですね。ですから、まずは「漢字が読めること」を大切にしましょう。
 漢字を読めるようになるには、言葉の意味を知っていることが重要です。お子さんがなかなか読めるようにならない言葉は、意味を知っているか確認してみましょう。知らない時は、言葉の意味だけでなく、どのように使うのか、簡単な例文も教えましょう。お子さん自身が例文を作るのも良い方法です。「繰り返し読む」ことも大切です。読みが定着していないなら、繰り返し書くよりも、カードなどを使っての繰り返し読む練習をお勧めします。
 「読めるけれども書けない」というお子さんも多くいます。漢字練習の字が「雑」ということですが、ゆっくり書いても雑なのでしょうか。「ゆっくり書けば奇麗」であれば、何回も書くよりも、しっかり見て覚えてから1回丁寧に書くようにしましょう。指書き(空書き)や語呂合わせも覚えるのに有効です。
 ゆっくり書いても画の数や位置を間違ったり、枠からはみ出したりする場合は、形を見極める力や手指の動きをコントロールする力に弱さがあるのかもしれません。お子さんは一生懸命なのに「雑」と言われ、つらい思いをしているかもしれませんね。このような場合には苦手さに合わせた練習方法を考えると同時に、書くことの負担を軽くするような配慮も必要です。一度、学校の先生に相談してみましょう。

 せき・あゆみ 北海道大学教育学部准教授。小児科医。専門は小児神経学・特別支援教育。1968年島根県出身。

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