Q 私は小学生の時はどちらかと言うと、父母や先生の言うことを聞く方でした。でも中学生になり、父母から「将来のために目標を持って頑張れ」と言われるたび、高校や大学に行ってもまた「頑張れ」と言われるのかと思い、とてもイライラしてきます。
回答者 大口久克さん(せたな町教委生涯学習指導主事)
A 小学生の時には大人の言うことをよく聞き、周りからの期待に応えるいい子だったんですね。きっと成績も良い方なのではないですか?
親をはじめ大人は「将来のため」に今頑張らなくては、とよく言います。それは子どものためを思ってのことでしょうが、子どもにしてみれば、ゴールテープが見えたと思ったら、そのゴールがまた遠のく…。「いつまで頑張ればいいの」と途方に暮れてしまう。思い起こせば、私も少しのんびりさせてと思ったことがありました。
考えてみたいのは、その目標や頑張る内容は誰が決めるのかということです。
人間は2度生まれると言われています。1度目はお母さんからですが、2度目は「自分」からです。自分が自分を生むのです。これまでとは違う「新しい自分」を生むのです。
それがちょうど思春期の時期なのです。これまで、周りの大人の言うことを聞いてそれに応えることに抵抗はなかったのに、ちょっと待って、そのことは自分で考えさせてと、自分で判断し行動したいと考えるのがこの時期なのです。
自分のことを自分で考えることは、大人の言うことに従うよりも大変なことです。でもそれは、何にも代えることのできない「あなた」をしっかり形づくるものとなります。
あなたのイライラは、実は一人の人間が成長する過程で、あなたがあなたらしくなるための「もがき」とも言えます。
お父さんやお母さんの言っていることを参考にしながらも、自分の頭で考える「今」を大切にしたい。そのことを父母や分かってくれる大人に勇気を持って話してはどうでしょうか。話すことでイライラが整理され、「新しい自分」をつくる時の一歩になるはずです。
おおぐち・ひさかつ 1959年生まれ。元中学校長。2020年から現職。
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小中高生や保護者のよくある悩みと、解決へ向けた考え方を過去の相談事例などを基に紹介します。