Q 6年生になり「将来の夢は何ですか」と聞かれることが多くなりました。先生や周りの大人は「夢くらい持っていないとね」と言います。でも、自分は「将来こんなことをしたい」とか「こんな職業につきたい」といった夢は決まっていません。決めなければならないのですか。
回答者 太田一徹さん(北海道子どもセンター研究員)
A 小学校卒業という節目の時期が迫り「将来の夢」を聞かれることが増えているのですね。自分の将来について考えるのは大事ですが、長い人生、そんなにあせる必要はないと思います。
「夢」とは、持たなければならないと縛られるものではありません。こんなことやってみたいな、できたらいいなあという楽しい願いや想像でも良いのではないでしょうか。
大リーグで活躍している大谷さんのように、夢を持ち夢に向かって努力する人もいれば、その時その時を楽しみながら、自分のしたいことや心引かれたことを大事に生きていく。その結果、自分の夢はこれだったのだな、と後で気づく人もいると思います。
お魚博士の「さかなクン」を知っていますか。小さな頃、毎日公園の砂場で泥団子を生き生きと作り続けていたそう。働く自動車が大好きになりゴミ収集車を見に行ったり、妖怪たちに夢中になり、絵を描いたり調べたりもしたそう。そしてタコを窓口に魚と出合ったのです。「将来の夢はお魚博士」と決めて今の「さかなクン」になったわけではありません。
生活の中で自分が「面白いな」「どうなっているのだろう」と感じることや、本が楽しくていくらでも読んでいられる、絵が大好きで気がついたら絵を描いている…。そうした経験は子ども時代に大切にしてほしいことです。
人や物事との出会いから、新たな関心が生まれることもあります。すごい夢である必要はありません。虫の面白さにくぎ付けになったり、友だちと真っ暗になるまで遊んだり-。その中で自分の世界が広がっていくのでしょう。
自分の楽しみや面白さは何かなと開けてみるドアが、将来の夢につながっているかもしれません。毎日を楽しんでみましょう。
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小中高生や保護者のよくある悩みと、解決へ向けた考え方を過去の相談事例などを基に紹介します。