ついついスマホで動画を見すぎてしまいます。特に夜、布団に入ってから数時間も見てしまいます。あまりに長時間見ているので、親から「いいかげんにしなさい」と言われます。疲れた日ほどダラダラと見てしまうので、自分でも早く寝た方がいいとは思いながらも動画を見ることがやめられません。

回答者 井出智博さん(北海道大学大学院教育学研究院准教授)

  私たちは何かに没頭しているとき、その間は嫌なことを忘れることができます。あなたにとっても動画を見ているときは動画に夢中になれて、嫌なことが忘れられているのかもしれません。そう考えると動画に没頭することは悪いことばかりではないのかもしれませんが、あまりに没頭する時間が長くなりすぎると生活に支障をきたすことになってしまいますね。
 自分ではやめた方がいいと思いながらもやめられない。自分ではうまくコントロールできないとき、そこには依存の問題が生じているかもしれません。動画を見て新しい情報に触れると、私たちの脳内にはドーパミンという神経伝達物質が分泌されます。このドーパミンは私たちに喜びや快楽の感覚をもたらし、疲れや嫌なことを忘れさせてくれます。
 しかし、ドーパミンには依存性があります。一度分泌され始めると私たちはその刺激をさらに求めるようになり、その刺激を得ることを簡単にやめることができず、相談者のように他のことが手につかなくなってしまって生活習慣が大きく乱れてしまうことがあるのです。
 ではどのようにしてコントロールしたらいいのでしょう? 「寝る前に動画を見ない」というように、私たちが何か行動を変えたいと思うとき、「~しない」ということを目標にすることがあります。しかし、「~しない」ということを目標にするよりも、「~する」という行動目標を設定する方が私たちが行動を変える時にはより効果的であると言われています。
 例えば、寝る前に動画を見る代わりに「ストレッチをして眠くなってきたら布団に入る」「布団に入って明日の予定を頭の中で整理する」などが考えられるかもしれません。あなたなりの寝る前の生活習慣を考えてみてはどうでしょう?

 小中高生や保護者のよくある悩みと、解決へ向けた考え方を過去の相談事例などを基に紹介します。