Q ぼくの中学校ではノートを提出して採点されるので、先生が黒板に書いたことを書き写さないといけません。ノートがなくても教科書やワークブックを見れば良いと思います。考えたことも書くように言われますが、何を書いたらいいのか分かりません。ノートは何のために取るのでしょうか。
回答者 関あゆみさん(北海道大学大学院教育学研究院教授)
A ノートには二つの役割があると言われています。一つは、ノートを見返して振り返るための役割。もう一つは、書くことで思考が整理され記憶に残りやすくなるという役割です。
以前、私が指導していた学生が中学校の先生を対象に調査をしたことがあります。ほとんどの先生がノートには「授業内容の整理」「思考内容の整理」「復習をする時に役立たせる」という三つの役割があると考えていました。
書くことが苦手な中学生にノートの役割を尋ねたところ、この三つと同じくらいの頻度で「成績のため」という答えが返ってきました。「ノートを書いていると先生の話が分からなくなってしまう」という子どももいました。
先生たちが期待しているようなノートの役割が発揮されるためにはまず、読んだり書いたりすることが十分に早く、楽にできないといけません。書き写すことで精いっぱいになってしまうと、ノートを取ることが理解することの邪魔になってしまいます。
また、あまりにも読みにくい字になってしまう場合は、書いても後で読めないということもあるかもしれません。こういう場合はノートを書くのをやめて、しっかり先生の話を聞く方が良いこともあります。あなたがそういうタイプなら、一度、先生と相談してみましょう。
「早く書くことはできるけれど、見返さないのでノートはいらない」ということであれば、「ノートは自分の考えを残したり、まとめたりするためのもの」と捉え直すと良いかもしれません。
ノートを取りながら大事そうなところに「大事!」とか星印を付ける、分からないところに「はてなマーク」を付けるとかで構いません。見返さなくても、そうやって考えながら話を聞くことが理解や記憶の定着を助けるようです。
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小中高生や保護者のよくある悩みと、解決へ向けた考え方を過去の相談事例などを基に紹介します。