僕の親はよく「◯◯はどう思う?」と僕の考えを尋ねてきます。なぜ、いちいちそんなことを聞いてくるのでしょうか。正直、うっとうしいです。

回答者 加藤弘通さん(北海道大学大学院教育学院准教授)

  親の立場としては、子どもの意見を尊重しようとしているのかなとも想像する一方で、あらゆることについて常に考えているわけでもないので、いちいち「どう思う?」と聞かれるのも、つらいですね。
 とはいえ、この問題を「うっとうしい」の一言で片付けてしまうのはもったいないので、もう少し、その理由を考えてみてみませんか。
 あなたがうっとうしいと思うのは、自分にとってはどうでもよいことまで、いちいち聞いてくるからでしょうか。それとも、こちらの意見を聞いておきながら、親が結局、それを受け入れる気がないからでしょうか。あるいは、親が自分で決断すべきことを子どもにゆだねて、ずるい感じがするからでしょうか。
 きっと実際のところは、右記のいろんな理由が混ざって、うっとうしいのだろうと思います。でも、大人は子どもがうっとうしそうにしているということは分かっても、理由までは分からないことが多いです。
 特に思春期の子どもをもつお父さん・お母さんと話していると、子どもが「しゃべってくれない」「何を聞いてもベツに、フツー、ウザいしか言わないので何を考えているのか分からない」というようなことをよく聞きます。
 つまり、あなたが「なんで親は何でも聞いてくるのか」その理由が分からないのと同じように、親も「なんで子どもがうっとうしがっているのか」その理由が分からないことも多いようなのです。なので、できればうっとうしいで終わらせないで、その理由を口に出してみませんか。理由が分かれば、親も変わるかもしれません。
 有名な心理学者が「家族が子どもを育てることができるのは、子どもによって家族が育てられているときのみである」という言葉を残しています。親も子どもによって育てられる必要があり、そのために理由を言葉にして伝えることも必要です。今度はあなたが親を育ててみませんか。

 小中高生や保護者のよくある悩みと、解決へ向けた考え方を過去の相談事例などを基に紹介します。