Q うちでは新聞をとっていて、家族で読んでいます。でも、読んでいないページもあって、そこは無駄だなあと思っています。そういうページをなくせば、もう少し安くできるのではないですか?
回答者 伊藤崇さん(北海道大学大学院教育学研究院准教授)
A まず、新聞を読んでいることが素晴らしい!
さて、新聞にはたくさんの情報が詰まっています。その中には小学生のあなたには分かりにくい情報もあるかもしれません。例えば会社の株の値段が書かれたページ(新聞では「面(めん)」と呼びます)は、もしかするとあなたやご家族には必要ないと感じられるかもしれません。また、たくさんの広告もあなたには興味がわかないかもしれませんね。
ところで「情報」って何でしょう。ある人は、情報とは「驚き」のことだと説明しています。私たちは「犬が人をかむこと」には驚きませんが、「人が犬をかむこと」にはビックリします。これが情報です。新聞が伝えるニュースは、私たちにとって驚きを引き起こす情報なのです。
新聞は一つの面にいろいろな種類の情報を載せています。たとえばニュース記事の横に広告があったりします。これは、新聞を読む人にとって驚きをもたらす情報に出合う可能性を高くしているからです。
例え話をしてみましょう。インターネット書店で目当ての本を買うのは便利ですが、読んでみたいと分かっている本しか手に入りません。便利ですが、驚きはないのです。でも、町にある本屋さんや図書館に行けば、自分が知らなかった本に出合う可能性もあります。「こんな本もあったんだ!」と驚くことができるわけです。一見すると無駄に感じられるようなたくさんの雑多なものが1カ所に集まっていることには、驚く可能性を高める効果があるのです。
新聞はたくさんの細かな文字が組み上がってできています。そうした文字の小道をあなたの目で散歩してみましょう。いままで知らなかった景色に驚くかもしれません。そういう経験に対する値段として、どう感じるでしょうか。ぜひ考えてみてください。
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小中高生や保護者のよくある悩みと、解決へ向けた考え方を過去の相談事例などを基に紹介します。