Q 絵本の読み聞かせが大切という話を聞きました。2歳の娘に読んであげていますが、集中力が無いのかすぐに立ち上がってしまい、じっとしていません。読み方が悪いのでしょうか。
回答者 川田学さん
(北海道大学大学院教育学研究院付属子ども発達臨床研究センター准教授)
A 絵本の読み聞かせは、子どもの心の成長や親子のコミュニケーションにとって大切な時間ですよね。でも、難しさを感じる親も少なくないかもしれません。
読み聞かせ場面で、2歳がじっとしていないのは不思議ではありません。むしろ、最初から最後まで聞かなければいけないと考えると、親子ともどもストレスになって、絵本の時間がイヤになってしまうかもしれません。膝に乗せて読み聞かせをしている途中で、立ち上がって玩具で遊び始めても、子どもが嫌がらなければそのまま読み続けてもよいでしょう。子どもは意外に聞いているものです。
読み方については、昔から平板に読んだ方が良いという理論と、抑揚や感情を込めて読んだ方が良いという理論があるのですが、私は基本的に「読み手が作品を味わえる読み方」で良いと思っています。読み聞かせが苦手と感じる方は、子育てひろばや図書館の読み聞かせイベントなどで、この人の読み聞かせはすてきだな、心地いいなと感じる読み手のマネから入るのが良さそうです。歌と同じで、好きな歌い手(読み手)のマネをするのが近道だと思います。
一方で、絵本の世界と子どもの経験や日常とのつながりを意識することも大切です。自分が見聞きしたことのある内容が絵本に出てくると、子どものまなざしは真剣になります。玩具遊びをしていた子が、ふと立ち上がって絵本のところに来て、一生懸命指さしして何かを伝えようとすることがあります。たぶん、その子の中で経験と作品が結びついたのでしょう。
絵本を選ぶ際、その子が好きなことや経験したことと結びつく内容の作品を見つけるのも一つの方法と思います。四季の豊かな北海道ですから、春夏秋冬の色味や空気感が美しい作品も幼心に響くことがあります。親子でお気に入りの一冊ができるといいですね。
質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。