小学6年の長男はバスケが好きで、地域の少年スポーツクラブで頑張って練習しています。しかし、そのクラブでは週5回の練習や試合の送迎を保護者がしなければならず、他にも指導者への飲食の準備、練習場の確保、試合の撮影、月謝や道具の管理を、保護者が分担することになっています。私は夜勤がある医療関係の仕事をしており、週2、3回しか送迎できません。年下の娘が体調を崩したり、夫の出張が重なったりすると、親がすべき役割を果たせず、そんな中で子どもが試合に出られないと、私のせいではないかと自分を責めてしまいます。

回答者 崎田嘉寛さん(北海道大学大学院教育学研究院准教授)

  週5回も練習しているということは、勝利にこだわるチームのようですね。まず、全ての練習に参加しなければ試合に出ることができないという取り決めがあるようであれば、それは「差別的指導」に該当する可能性がありますので、競技団体の相談窓口に連絡してください。他にも複数の相談窓口があります。
 何より、子どもの「スポーツをしたい」という願いをできる限り応援している相談者が、自分を責めなければならない状況は、本当に残念に感じます。保護者の思いに付け込み、負担を強いているのであれば、クラブの運営に問題があると言わざるを得ません。大阪大学の岡田千あき教授は、このような運営には「暴力的な構造」があると指摘し、子どものスポーツの場が、保護者にとって「しんどい環境」であるというのは、単なる愚痴ではなく「問題」であると警鐘を鳴らしています。
 保護者の家庭環境や、子どものスポーツに期待することはさまざまなので、保護者間の話し合いによる解決は困難かもしれません。そのため、保護者の負担を「問題」としてクラブで共有し、時代に即したアイデア(ライドシェア、宅配サービス、業務委託など)を提案してみてはどうでしょうか。
 また、子どものスポーツ環境の改善という大きな視点があれば、複数チームでの共同運営もできるでしょう。
 一方で保護者の負担が少ない少年スポーツクラブは、着実に増えつつありますので、活動の場を変えることも一案でしょう。

 質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。