息子の学校での授業は、グループ活動が多いらしいです。私が中学生の頃は先生がしっかり教えてくれる一斉授業ばかりだったので、はたしてグループで子ども同士で話し合って学力がつくのかどうか心配です。息子も、いつもできない子に教えるばかりでつまらないと言っています。

回答者 守屋淳さん(北海道大学大学院教育学研究院教授)

  ご心配はもっともです。親御さんたちが経験した授業と違った授業を子どもたちが受けているのだとしたら、まして息子さんも授業がつまらないと言っているのであれば、なおさらでしょう。
 しかし、そうした心配はいったん脇に置いて、教育は何のためにあるのか広い視野で考えてみましょう。社会が急速に変化していることはあなたも感じておられるでしょう。環境問題、少子高齢化、情報化の進展への対応等々、地球規模で起こっているそうした新しい課題に取り組んでいけるような人間を育てていかなければなりません。
 今までの教育は決まった正解や問題の解き方をしっかり覚えていることを「学力」があることとしてきました。しかし今や正解が決まっていない問題に取り組む力が必要なのです。言われたことに従うだけの受け身の姿勢ではこうした新しい問題にチャレンジすることはできません。
 正解を覚えるよりも、たとえば数学なら数学的な考え方、社会科なら社会科学的なものの見方を身に付けることが今求められている本当の「学力」なのです。そしてそうした学力を身に付けるには、自分一人で考えるよりも、いろんな人のいろんな考えを聞きあい、考え合うことが必要です。
 最近の学校がグループ活動を重視するのにはそういう背景があるのです。教育に対する見方を変えて、これからの社会を生きる息子さんたちを応援してあげましょう。
 ただし、息子さんのようによくできるお子さんがいつも教え役になって不満がたまるということも問題です。グループで取り組む課題が簡単すぎるからそうなるのです。その点は、どの子も真剣に取り組みたくなるような本質的で質の高い課題を授業で取り上げるよう、先生方にも努力と研さんが求められています。

 質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。