Q 人からの助言を素直に受け取れません。優しい言葉で助言されても「何でそんなことを言われなければいけないんだ!」と、反発してしまう気持ちが湧いてきてしまいます。自分の成長のために、もっとそうした助言を素直に受け止められるようになるには、どうしたらいいでしょうか?
回答者 井出智博さん(北海道大学大学院教育学研究院准教授)
A もしかしたら、あなたにはまだはっきりはしていないかもしれませんが、「自分はこうしたい」「自分で考えたい」という意思があるのではないでしょうか。
そうした意思が、はっきりと自分に理解できているときには、他の人の意見に必要以上に影響されることはあまりありません。ところが、それがあいまいで自分にもよく分からないような状態だったりすると、他の人の言葉に耳を傾けるのが難しくなってしまうことがあります。
そこで、あなたに提案です。まず自分の意思をしっかり整理することに取り組んでみてはどうでしょう。
自分はどうしたいのか、なぜそうしたいと思うのかを整理してみてください。自分自身の意思がしっかりと理解できるようになると、他の人の言葉に影響されすぎず、もう少し冷静に耳を傾けることができるようになるかもしれません。
私はカウンセラーという仕事をしています。カウンセリングの中では、相談に来られた方に対して積極的に助言をするよりも、カウンセリングに来られた方自身が、自分の考えや気持ちを整理したりするお手伝いをすることに多くの時間を使うことがあります。
カウンセリングの中で、ご自身の意思をしっかり持てるようになると、自信をもって自分の意思と他者の意見を比べることができるようになります。すると、余裕をもって他の人の言葉に耳を傾けることができるようになっていくようです。
人の助言を素直に受け取れるようになりたいという相談なのに、自分の意思に目を向けてみてほしいという提案は不思議に感じられるかもしれません。しかし、自分の意思と他者の考えの区別がしっかりできるようになっていくことは、私たちが自分らしく生きていく上でも大切なことなのだと思います。
質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。