Q 学校の仲良しグループで、いつも一緒なのですが、ときどき別の女子の悪口で盛り上がることがあって、私もなんとなく、一緒に笑ったりしているんだけど、本当はとても嫌です。でも、みんなのことは好きだし、悩んでます。
回答者 安達潤さん(北海道大学大学院教育学研究院教授)
A 相談ありがとう。仲良しの友だちといるときに本当の自分の気持ちに気づきながら、それを隠して周りに合わせるのは、自分に後ろめたい、居心地の悪い感じがしますよね。
「人の悪口は聞きたくない」っていうあなたの感覚は、とても“まとも”で全然変じゃないと思います。そんな風に感じられることはとても大切なので、これからも失わないようにしていってくださいね。
さて、しかし、相談の状況では「友だちが好き」と「悪口が嫌い」が心の中でぶつかって乱れてしまって、どうしていいか分からなくなりますよね。悪口をやめさせようとすると、逆に反感を持たれるかもしれないという不安もありますよね。
そんな時に試してみてもらいたいのは「あなたの乱れた心を少し遠くから眺めてみること」です。「いま自分の気持ちはどうなっているのかな?」とか「嫌だと強く感じる悪口ってどんなものだろう?」とか考えてみることです。そして友だちを少し遠くから眺めてみるのもいいですよ。「誰がどんなきっかけで悪口を言い始めるのかな?」「他の友だちはどんなふうにその悪口に乗っかり始めるんだろう?」とかです。悪口状況を冷静に眺める観察者になってみてはどうでしょうか。「一緒に笑う」ことはせずに、静かにうなずいて聞いている感じでいいと思います。
そうすると、ただ悩んでいるだけの時よりもいろいろなことが見えてくると思います。例えば「悪口を言い始めた子も、何かつらいことがありそう」とか「他の子もあんまりうれしそうじゃないときもある」とか。あなたが「ねぇ、こんな話があるんだけど」と切り出して、悪口の流れを切り替えるタイミングも見えてくるかもしれません。そんなふうにして「悪口よりも楽しい話がある」という感覚がみんなに伝わっていくとよいですね。
質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。