Ｑ　授業中にトイレ（大きい方）に行きたくなることがあり、困っています。先生には「休憩時間に行っておきなさい」と言われますが、急におなかが痛くなることも多いし、トイレの前で「臭い」と言われたこともあり、休憩時間には行きづらいです。発表や試験の前が多いので、「また行きたくなったらどうしよう」と心配です。学校でトイレに行かなくて済むにはどうしたら良いでしょうか。

回答者　関あゆみさん（北海道大学教育学部教授）

　Ａ　授業中や試験前にトイレに行きたくなるのは困りますよね。し～んとしている時に「トイレに行かせてください」と言うのは勇気がいるし、恥ずかしい。分かります。
　ストレスのかかった時などにおなかが痛くなるのは「腸脳相関（ちょうのうそうかん）」とも呼ばれ、大人でもよくある現象です。脳、つまり心の状態が、腸の動きに影響することで起こります。心の状態と言っても「気のせい」ではなく、脳から送られるストレス信号によって腸の動きがおかしくなり、そのためにおなかが痛くなるのです。下痢や便秘を伴う場合を「過敏性腸症候群」と呼び、大人では１０人に１、２人はいるそうです。
　急になおすことは難しいのですが、生活リズムを整えることやストレスを減らすことで症状を軽くすることができます。朝ごはんは、ちゃんと食べているでしょうか。食事は決まった時間にゆっくり時間をかけてするのが良いと言われています。
　また、便意がなくてもトイレに行くことで、だんだん決まった時間に排便できるようになるので、朝ごはんの後、すぐに家を飛び出るのではなく、少しゆっくりできると良いですね。症状を改善するお薬もあるので、症状がひどい場合はお医者さんに相談してみてください。
　「学校のトイレで排便したくない」という気持ちはよく分かりますが、排便を我慢しすぎると便秘になります。「便秘の方がまし」と思うかも知れませんが、便秘が原因でひどい腹痛を起こしたり、自力で便が出せなくなったりもします。行きたい時には我慢せずにトイレに行く方が良いです。症状について先生にあらかじめ伝えておき、行きたい時にそっと抜けさせてもらえるようにすると良いと思います。

　質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。