教科書やテスト用紙の問題文を読み、正しく理解する力は、教科を問わず重要だ。文章の意味が分からなければ答えを導き出すことは難しい。新聞を使って文章の読解力や理解力を高める授業を行っている先生を訪ねた。

*空知管内栗山小・冨樫忠浩教諭*「5W1H探し」構成力養う

 空知管内栗山町立栗山小の冨樫忠浩教諭は、新聞記事を使って「5W1H探し」や「見出しクイズ」を行っている。

5W1Hの重要性を学んだ授業

5W1H探しや見出しクイズで使った資料や記事

 昨年9月、担任している5年の国語の授業。地元のボランティア団体がごみ拾いをした記事を例に「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」の5W1Hに注目すると、文章の骨組みが分かることを伝えた。続いて、栗山高の女子野球部が全国大会を目指すという記事から5W1Hを探した。

 国語教育の専門家で元道教育大函館校教授の野口芳宏さんが考案した「マルチ・プラン・シート」に、見つけた5W1Hを書き込み、これをつないで要約文を作成した。「足りない言葉を補ったり、順番を変えたりしてもいいよ」。助言された児童たちは、記事の要約文を作って音読した。

 続いて見出しに着目。「見出しに共通していることは」との問いに児童からは「『は』とか『の』とか、つなげる言葉がない」と声が上がった。記事の要点をまとめた見出しは、字数を短くするため言葉が省略されていることを学んだ。

 また、米大リーグの大谷翔平選手が50号本塁打を打った記事を題材に、見出しの空欄に正しい数字を書き込んだりもした。

 中井琥太郎さんは「5W1Hを読めば、新聞の記事が大体分かることを知ることができて面白かった」。山内翔仁さんは「長い文章を記事にまとめるのはすごいと思った」と感想を口にした。

 冨樫教諭は「5W1Hを探し、並べ替えて文章を作ることは構成力を養い、話す力にもつながる。見出しのように短い言葉で表現する力も重要」と強調する。

 情報を見つけるため、自ら文章を読み込んでいく作業は「児童たちのこれからの生き方にも役立つ」と話している。(五十嵐文弥)

*札幌市立栄中・高田千恵教諭*コラム視写 要約し苦手克服

 札幌市立栄中の高田千恵教諭は、新聞1面のコラムを視写させる取り組みを続けている。

返却されたプリントを手に、要約のコツなどを学ぶ生徒たち

生徒たちが提出した、視写の課題

 5年ほど前に当時の在籍校で始めた。書き写すコラムは毎月、学校司書が絞った候補から選び、コラムとマス目を印刷したA3のプリントを作成。現在は1、2年生の国語の授業で北海道新聞の「卓上四季」を題材に行っている。

 プリントにはコラムの要約や気になる言葉を調べて書く欄のほか、タイトルを考えて付ける欄も。月初めの授業で渡し、月末締め切り。でき次第提出する仕組みだ。

 昨年10月初めの授業では、新しいプリントを配り、7月の課題を返却した。三宅島の噴火を題材にした井伏鱒二の短編「御神火」とトカラ列島の群発地震を例に、自然の猛威に今も人知が及ばないことをつづったコラムだった。この日の授業では、要約のポイントにも触れた。

 東怜杏(りあ)さん(2年)は「(世の中で)どういうことが起きているかも分かるし、知識も増える」。家では新聞を取っておらず、ニュースはテレビで見る伊藤壮汰さん(2年)は「コラムには知らない情報が載っていて面白い」と話す。

 プリントは3点満点で採点しており、しっかり視写できていれば1点、要約が書けていれば1点、要約内容が優れていれば1点としている。

 高田教諭は「書くことが苦手な子は多い。新聞の文章に触れ、書き写し続けることで早く読めたり書けたりするようになり、書くことに対する抵抗が薄れると感じる」と狙いを語る。

 学校司書の菊池香織さんは「身近なことから始まっている話題や、中学生が受け入れやすいものを選ぶようにしている」。内容に関連したコーナーを学校図書館に作り、生徒の興味に応える取り組みも行っている。(五十嵐文弥)