まなbellを活用して美幌中2年生のクラスで行われた国語「根拠の適切さを考えて書こう~意見文を書く」の授業

まなbellの新聞製作機能を使って完成させた力作約110点が貼り出された玄関ホール

 「闇バイト」「クマ出没」「いじめ」「人口減」「同性婚」…。オホーツク管内美幌町の美幌中2年A組で、西貴洋教諭(47)が地域や社会の話題を尋ねると、次々に手が上がった。生徒は北海道新聞社の総合デジタル教材「まなbell(べる)」の記事データベース(DB)で調べて回答した。同中では「新聞を作る」機能の活用や「今日の朝刊1面」「おすすめニュース」の閲覧など、まなbellをフル活用して学力向上に役立てている。
 10月に行われた国語科「根拠の適切さを考えて書こう~意見文を書く」の授業。この日は意見文のテーマを生徒自らが決めるため、タブレット端末に思い思いのキーワードを打ち込んでいった。西教諭は「キーワードを考えて記事を探すと同時に、検索して出てきた記事を一生懸命に読み、自分事としての意見文を書く意欲を高めていた」と手応えを語る。
 まなbellを2023年度に導入した同中では毎週1回、全学年が10分間の朝読書で本を読む。この際、まなbellでニュースを読んだり、自分の関心あるテーマについて検索したりするほか「まなぶんクイズ」に挑戦する生徒もいる。
 社会科(環境問題など)や道徳科(ヒグマ駆除や住民による消防団と消防署の違いなど)、総合的な学習の時間(地域の職業や木育・森づくりなど)での調べ学習にも活用。今年の少年の主張オホーツク地区大会には、記事DBを参考に木育に関する原稿を書き上げた3年生が出場した。同中の庄司洋人教頭(54)は全国学力テストの結果について「国語、数学とも平均正答率は昨年度より上がった」と喜ぶ。
 「根拠となる情報をDBで選んで読み、限られた文字数の中で文章を書き、写真を選んで短い説明文を考えるなど、国語能力の向上に役立つ」と西教諭が効果を強調するのが、まなbellにある「新聞を作る」機能だ。記事と写真の数が違う4種類のテンプレート(ひな型)を用意している。生徒は国語の授業で10分ほどの説明を受けてから使い始めた。
 同中では朝読書や授業を通じて関心を持ったテーマについて本年度から全学年で新聞作りに取り組み、夏休みも利用して仕上げた。「美幌町新聞」「おせんすい新聞」「パリ五輪新聞」などの力作約110点は、玄関ホールに貼り出され、生徒が読み入る姿が見られた。本年度末にも2回目の新聞作りに取り組む。
 まなbellについて山本奈央さん(2年)は「DBで正確な情報をすぐ知ることができる。新聞作り機能はレイアウトを選ぶことができ、書き込んだ文字数も分かって良かった」。畑山夢希(ゆめの)さん(同)は「『道新受験情報』も載っていて便利」という。バレー部顧問を務める西教諭は今夏、バレー部の活躍を紹介した「絆新聞」を作った。「部活だけでなく、学校行事の報告にも新聞作り機能が役立つ」
 同中では、NIE活動として図書館前の廊下に道新の朝刊を掲示。オホーツク面を広げた状態で誰でも読むことができるようにしている。同中の取り組みや生徒の活躍ぶりが掲載され、庄司教頭は「美幌中への誇りにもつながる」と新聞活用に手応えを感じている。(福元久幸)