<NIE授業 新時代>小学6年社会・戦争と人々のくらし*紙面探し身近な問題に*朝倉一民(札幌国際大教授)
掲載日:2024.11.25
小学校6年生社会科「長く続いた戦争と人々のくらし」の学習について紹介します。現在、教育現場では「個別最適な学び」「協働的な学び」という言葉が重要視されています。GIGAスクール構想による1人1台端末の配備もあり、子どもたちが自分自身のペースで、時には友達と協力しながら学びを進めていく「自由進度学習」が広まりつつあります。
「調べて、考えて、表現する」社会科は、自由進度学習を進めやすい教科でもあります。しかし、自由進度学習は子どもたちに「学び方」を指導しなければうまくいきません。そして問題意識を持たせなければ子どもの学びは進んでいきません。そこで、学び方を支える支援アプリとして北海道新聞社の総合デジタル教材「まなbell(べる)」を活用します。
子どもたちが「学んでみたい」という問題意識を持つためには、身近なことに置き換えることが大切です。教科書では日本の戦時中の生活を調べてまとめることになっていますが、時間的にも地域的にも遠い感覚なのが子どもたちです。そこで子どもたちから「問い」を引き出すために、まなbellにある新聞記事データベースで教師が身近な戦時中の話題を探してみます。
そうして見つけたのが、写真と共に道央各地の主な戦跡を紹介した紙面です。現在は憩いの場所である大通公園が戦時中はなにやら畑になっています…。「食べ物に困っていたのかな」「後ろにあるのは銅像の台座?」「子どもも働いているよ」などと子どもたちから声が上がります。当時は食糧増産のため、中島公園や円山公園、大通公園などを住民に畑として貸していたという事実があります。身近な札幌市の公園から戦時中の暮らしを想像することができることで、子どもたちに「戦時中の様子を調べてみたい」という問題意識が生まれます。
自由進度学習は「学び方」を身につけることが大切で、その一つが教科書を読み取る力です。教科書には戦争の体験談を聞いたり、各地の空襲被害を調べたりするよう記されています。このような地域教材は教科書にはありません。当時の札幌市内の戦禍について取材することも子どもたちだけの力では難しい。そこで、まなbellです。子どもたちが戦時中の北海道の様子を新聞記事検索してみると、函館の小学校の敷地内に防空壕(ごう)を掘ったことや、札幌市丘珠で空襲被害があったことなど当時の様子を知ることができます。
このように新聞記事は教科書にはない「地域教材」としての価値があります。子どもたちが個別最適に学ぶために、まなbellを活用する学び方も社会科では指導していきたいところです。
学んだ成果は、まなbellの新聞製作機能でまとめます。