中学2年生国語「意見文を書く」の学習において、効果的な新聞記事と情報通信技術(ICT)の活用方法を紹介します。
 まず、新聞記事の活用についてです。2017年告示の中学校学習指導要領の国語では、2年生以上の「書くこと」の「題材の設定」の対象として「社会生活」を想定しています。しかし、全ての中学生が社会生活について課題意識があり、意見を持っているわけではありません。そこで生徒が社会生活の中から課題を見つけ、意見を持つために中高生向けの新聞や地方紙、全国紙の地方面を導入の資料とすることが効果的です。
 中高生向けの新聞では、社会生活の課題について中学生にとって身近なものから考えることができるように特集が組まれます。例えばSDGsを考える特集として「制服リサイクル」「フェアトレードコーヒー」などが具体的に取り上げられたことがありました。また、図表や写真が多く使われ、文章を読むのが苦手な生徒でも理解しやすい特徴があります。このように、中高生向けの新聞は社会生活の課題について、理解しやすく伝えているのが利点です。
 一方、地方紙や全国紙の地方面では、生徒が住む地域のことを詳細に知ることができる利点があります。例えば、地方公務員の人員不足や、地方の産科の縮小など、身近で深刻な問題でありながら、中学生が意識しづらいものに目を向けさせることができます。自分たちの住んでいる地域の課題であれば、生徒も具体的なイメージをもちやすく、自分ごととして意見を考えることができます。

 次にICT活用について。「資料の収集」場面においてはネット検索も含め、授業中に生徒が多くの情報に触れる機会が増えました。新聞を使った学習においても、各新聞社が学校向けデジタルサービスを提供しており、記事を検索し学習にいかすことも容易になりました。
 その半面、大量の記事に触れることで、生徒は「自分がどういった情報を理解しているのか」について、授業の途中で混乱することがあります。これを防ぐためにはエクセルなどの表計算ソフトを使い、自分の読んだ記事を観点ごとに整理し、分かっていることを可視化することが効果的です。
 教員は生徒がまとめたエクセルデータを見ることで、新たな記事を紹介したり、記事について理解の漏れがないか質問したりと、個々人に応じたサポートをすることも可能になります。
 記事やICTを適切な形で活用することで狙いに沿った、生徒にとって困り感の少ない授業を実現することができます。

生徒が読んだクマ駆除の記事を観点ごとに整理したエクセルの表

生徒が読んだクマ駆除の記事を観点ごとに整理したエクセルの表