新聞社のデジタル教材について話し合ったNIE全国大会の討論会=4日

新聞社のデジタル教材について話し合ったNIE全国大会の討論会=4日

 「ICT(情報通信技術)で開くNIE新時代」をテーマに、日本新聞協会主催の第28回NIE全国大会松山大会が開かれ、デジタル時代のNIEについて可能性を探った。特別分科会のパネル討論は、新聞社側がデータベースなどデジタル教材の最新事情を説明、利用する教員側が要望・意見などを出して話し合い、今後も協力し改良していくことの大切さを共有した。
 国のGIGAスクール構想で1人1台端末の配備が進み、デジタル教材に関心が集まっている。パネル討論「タブレットでNIE~新聞社のデジタル教材最前線」は北海道新聞、朝日新聞、愛媛新聞3社の担当者と、愛媛県内でNIEアドバイザーを務める中学教員がパネリストとなった。
 「生徒が自分の地元の事業所を調べるのに重宝している」。北海道新聞の担当者は同社が提供する学習用記事データベース「まなbell(べる)」を授業で使用する道内高校教員の声を会場で紹介した。検索した記事を教材に加工できる機能など、デジタルならではの利便性も説明した。
 朝日新聞の担当者は記事検索を充実させた「朝日けんさくくん」や小学生新聞のデジタル版など学校教育向けデジタルサービスを、愛媛新聞の担当者は新聞制作機能なども備えた小中学生向けICT教育サイト「愛媛新聞forスタディ」を説明。デジタル教材の多彩な広がりを印象づけた。
 授業で多くのデジタル教材を活用するパネリストの教員は「教員が使い方を学ぶ時間を減らすため、児童生徒が直接見られるような使い方の動画を搭載できないか」と要望。「記事の理解など情報収集には紙がいいが、それを表現・発表するにはデジタルツールが便利」と、紙とデジタル双方の利点を踏まえて情報活用能力を養うべきだとした。
 大会は3、4の両日、松山市で全国の教育・新聞関係者ら約1200人が参加して行われた。記念講演や討論会のほか、公開授業・実践発表など16プログラムが公開された。来年度のNIE全国大会は京都市で開かれる。(杉本和弘)