Q 朝なかなか起きられません。親には「起きられないのは早く寝ないからだ」と言われますが、そんなに遅い時間に寝ているわけではなく、早寝しても起きられません。
回答者 加藤弘通さん
(北大大学院教育学研究院付属子ども発達臨床研究センター准教授)
A 自分でもどうしようもないことを本人の努力のせいにされたり、話を聞いてもらえなかったりするのはつらいですよね。
一般的に思春期は、眠くなる時期です。10代は身体が変化することで、睡眠をつかさどる体内時計が2時間ほど遅れるからです。つまり、夜になってもなかなか眠くならない。だから寝るのが遅くなり、朝起きるのがつらくなるわけです。
一方、あなたのご両親の年齢である中年期は、仕事や家事が忙しくなることで、夜、それまでよりも早い時間に眠くなります。つまり親たちが早く寝るようになる一方で、子どもたちはより遅く寝るようになっている。そのため、あなたのご両親のように「起きられないのは早く寝ないからだ」というような発言が飛び出すのかもしれません。
では、どうすればいいのか。まずはご両親に思春期に関する科学的な知識を知ってもらうことです。
「思春期は眠くなるのが遅くなるし、大人よりも長い睡眠時間が必要になる。だから学校のリズムに合わせようとすると、どうしても朝、起きられないことのほうが普通である。そして、朝、起きられない自分はある意味でよく育っているのだ」。こんなことを伝えたらいいと思いますよ。
ネットで「思春期」「睡眠」などをキーワードにすればたくさんの記事がヒットします。良い記事を「読んで」とLINEでご両親に送るのも良いかもしれません。
そうは言っても、睡眠不足は思春期のこころによくない影響を与えることも分かっていて、ある研究は思春期の子どもは8・5時間以上の睡眠をとることをすすめています。
なるべく早く眠くなるにはどうすればいいか。多くの研究が共通して言っていることがあります。一つは、日中によく日光を浴びる、つまり屋外で活動することです。もう一つはスマホやパソコンを寝る直前までやらないこと。これらのライトには目をさまさせる作用があるからです。この辺りから始めてみてはいかがでしょうか。
質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。