小3の子どものクラスが落ち着きません。保護者会も何度かもたれ、授業のときに他の先生が教室に入って、騒がしい子どもを注意してくれてはいるようですが、良くなりません。最近はうちの子も学校に行きたくないと言うようになりました。また近々、保護者会がもたれるのですが、私たちも何を言ったら良いのか分からず、困っています。

回答者 加藤弘通さん
(北大大学院教育学研究院付属子ども発達臨床研究センター准教授)

  子どもの「学校に行きたくない」にはドキッとしますよね。私も自分の子からそれを聞いて、仕事が手につかなくなることもありました。
 問題となっている学級の状態ですが、心理学的に考えていくつかやれることがあります。一つは「先生に良い場面での関わりを厚くしてもらう」ことです。
 質問からは、現在、注意という形で先生の子どもへの関わりが厚くなっているようです。しかし注意されるというのは、子どもにとってはうまくいっていないダメな場面での関わりが増えるということです。これまでの研究から、学級の落ち着かない状態には教師と子どもの関係が良くないことが関連していることが分かっています。したがって悪い場面での関わりが増えると、教師と子どもの関係がますます悪化し、さらに学級が落ち着かなくなっていく可能性が高まります。
 逆に子どもが良いときに教師が関わり、その場面を増やしていけば、教師と子どもの関係が良くなり、その結果、学級が落ち着く可能性が高まります。
 もう一つは「授業外の関わりを厚くしてもらう」ことです。授業中の関わりも重要ですが、どうしても授業中は指導や注意という側面が強くなりがちです。そこで休み時間や授業が始まる前の朝の時間を活用して、遊びや運動、工作などを通して、良い場面での先生と子どもの関わりを厚くするのも手かと思います。
 このように良い場面で関わりを厚くするほうが、先生にとっても、子どもにとってもうれしいことだと思います。学級が荒れたりすると、どうしても保護者としては「厳しくしてほしい」「学校は何をしているんだ」と責めたくなる気持ちになるのは分かります。しかし、それよりも先生が子どもとうまく関わっているところを探して、そこを厚くしてもらう、これが保護者が先生に対してできる、良い場面への関わりではないでしょうか。

 質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。