将来は中学校か高校の教師になりたいと考えています。大学で教職課程を履修するうちに、大学を卒業してからすぐに教師になるのではなく、いったん民間企業などに勤めてからの方がよいのではないかと考えるようになりました。その方が経験も広がるし、教師になるのは他の職業に就いてからでも遅くはないと思うのです。

回答者 光本滋さん(北海道大学大学院教育学研究院教授)

  最近、質問者さんのような意見をよく聞きます。質問者さんは、なぜ教職以外の職業経験をしたいと考えているのでしょうか。
 自分が興味を持ち、やってみたいと思うことがあるのならチャレンジすればよいと思います。さいわい(?)「教員不足」を背景に、さまざまな年齢や経験を持つ人たちが教師として働くことができるような採用が各地でおこなわれていますので、遠回りしても教師への道が閉ざされることは(当分)ないでしょう。
 「周りがそうしているから」というあなた。それはそれでアリでしょう。何となく選んだ道でも、得がたい経験が待ち受けていることは珍しくありません。そこまでいかなくても、経験の“引き出し”が多ければ、それらをきっかけに子どもたちの興味・関心を引き、教育に生かすこともできるでしょう。
 「自分は社会経験が浅く、教師として子どもを導く自信がない」という方は、いったん立ち止まり、教師とは何か、どうあるべきか考えてみてはどうでしょうか。
 教育実習などでは「子どもの前では堂々と振る舞え」とか、「自信のない姿を見せてはならない」と指導されるかも知れません。それは「深く理解しろ」、「自分が納得いくまで考えろ」ということであり、「分かったふりをしろ」とか、「納得していなくても権威に従わせろ」ということではないはずです。そして「深く理解する」ことや「納得いくまで考える」ことは学校という社会においても大切にされているはずです。
 もし質問者さんが大学で学ぶうちに教師や学校のあり方に違和感を持つようになったのであれば、その気持ちを抑圧することなく、友人との語らいや大学の勉学の中で突き詰めてみてはどうでしょうか。

 小中高生や大学生、保護者の悩みと、解決に向けた考え方を過去の相談事例などをもとに紹介します。