中高生が関心を持ったテーマについて記事を切り抜き、台紙に貼って意見や感想を書き込む「2025年北海道新聞切り抜き作品コンテスト」(北海道新聞社など主催)の入賞作品が決まった。本年度は中高合わせて663作品の応募があり、テーマ設定や読みやすさなどの内容を審査。応募数に応じて優秀賞に中学生5点、高校生15点が選ばれた。

 このうち旭川南高3年の佐々木花音(かのん)さんは、音楽による子どもたちの発達支援について複数の記事を切り抜き、まとめた。ほかにも北海道の食やヒグマ出没など身近な問題から、コメをはじめとする物価高騰、教育や環境問題など幅広いテーマで意欲的な作品が寄せられた。

 受賞作品はいずれも、記事の注目部分に線を引いたり、イラストを添えるなどして分かりやすく作り上げたものばかり。1月下旬には札幌市内で受賞作品展も開かれた。

 優秀賞を受けた作品のうち、佐々木さんを含む4点を紙面で紹介する。4人以外の優秀賞受賞者は次の通り。(敬称略)

 【中学の部】中村愛俐(岩見沢市立上幌向3年)、今七星(同1年)、岸本明奈(石狩市立浜益1年)

 【高校の部】樋口茉耶(札幌新川1年)、照井妃夏(同3年)、吉田和月(札幌龍谷学園1年)、林美優菜(同)、伴ほまれ(札幌創成1年)、村山桃香(同)、宮本風優香(同)、毛利舞花(同)、水戸葵歩(同)、彭由伊(札幌開成中等教育学校5年)、佐久間虹瑚(帯広緑陽1年)、永田六花(同)、金沢寿桜(帯広工業2年)


 

*音楽の力で発達支援*佐々木花音さん=旭川南高3年

 音楽が好きで、中学高校と部活動でサックスを吹く。保育士の母の姿から、保育や発達支援など教育にも関心を持ち「音楽がつなぐ発達支援の未来」をテーマに選んだ。

 コンテストは同高の学校設定科目「時事問題研究」を選択する生徒たちが応募。家では普段、新聞を読むことがないため「最初はどこにどんな記事が載っているか分からず」、皆で学校にある新聞を読み込みながら自分の読みたい記事を探していったという。

 作品は、音楽療法や保育士不足の現状、子どもが対象の療育施設を取り上げた記事など、くらし面に掲載された記事と「まど」から計5本を選び「見る人の目を引くようレイアウトを工夫して」作成した。優秀賞に笑顔を輝かせた。

 記事のポイント部分は線で強調し、見出しも効果的に配置。発達障害の娘を育てる森山和泉さんのイラスト入りコラムから「みんなと同じことができないということは、他の人が苦手なことが得意なのかもしれない」という言葉に注目して「その子の可能性を信じて(支援し)、私たちが道しるべとなることが大切」と記した。

 音楽や教育が専門の大学へ進み、さらに学びを深めたいと考えている。(五十嵐文弥)

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*観光サービスを紹介*舩岳桂子さん=岩見沢市立上幌向中1年

 旅行が好きで「道内各地の観光地や両親の実家がある兵庫県、岡山県に何度も行っている」という舩岳さん。道内で観光客向けに行われている荷物の預かりサービスや交通手段についての記事を取り上げ「観光客のための取り組み」として紹介した。

 夏休み中、コンテストに向けて7、8月の北海道新聞に掲載された観光や旅行に関連した記事を集めた。その中から、スマートフォンのアプリで予約し、カラオケ店や飲食店、コンビニで荷物を預かってもらうサービス、足が不自由な人を対象とした電動車いすの貸し出しサービスなどの記事4本を作品に載せた。切り抜きに取り組むことで「普段の旅行では気付かなかった観光客の困りごとが分かった」。

 見やすさにこだわり、見出しを蛍光ペンで縁取りして目立たせた。「絵を描くのが好きで美術部に所属している」という特技を生かし、記事の横には飛行機やバスのイラストを配した。

 これまで、あまり新聞を読むことはなかったが「旅行や観光など、自分の関心がある話題も載っていることが分かった。これからは継続して読んでいきたい」という。「受賞は頑張って作ったのでうれしい。両親も喜んでくれた」と笑顔で話した。(向井智啓)

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*物価高の原因調べる*広瀬実花さん=札幌創成高1年

 札幌創成高の1年生は夏休み中の課題として、新聞切り抜き作品づくりに取り組んだ。

 広瀬さんは父母と姉の4人家族。家では新聞を取っており、父がニュースについて話題にすることもあるそう。7月の新聞を見て、選挙の次に紙面で目立っていたのが物価高の話題だった。「お母さんが卵やサケが高いと言っているのも聞き」物価高騰をテーマに決めた。

 夏の暑さで生産量や品質が低下し、野菜や豚肉が高値となったことや、鳥インフルエンザの影響で鶏卵価格の上昇が続いていることをまとめた記事のほか、物価高が営農環境にも影響して、農家を継がない子ども世代が増えている記事を選んだ。「鳥インフルと卵の問題は記事を読み、なぜ鶏卵の高騰が続くのかが理解できた」と話す。

 高校では美術部と家庭科部に所属し、ポスターづくりや調べ物をまとめるのも好き。切り抜いた記事と手書きのまとめ、意見の部分が偏らないように配置し、読みやすく工夫したという。「全体としてのバランスは良くできたと思う」と優秀賞受賞を喜ぶ。

 お金と経済の問題に興味があり「国(の経済)がどう回っているかなど、さらに学んでみたい」と話してくれた。(五十嵐文弥)

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*備蓄米の流通に関心*佐藤凛さん=十勝管内幕別町立糠内中1年

 1位の「熊」にわずかの差で届かず、「2025年今年の漢字」2位となった「米」。佐藤さんは価格抑制や流通不足解消のため、政府が放出した備蓄米をテーマに選んだ。「新聞に大きく載っていることが多かったし、テレビニュースでもよく耳にしたけど、言葉が難しくて分からなかったので、少しでも調べてみようと興味が湧いた」

 作品では、入札に続いて随意契約による追加放出が行われたことを紹介。6月11日の北海道新聞朝刊の見出し「備蓄米 道内でも店頭に」と記事の一部、スーパーで米を買い求める人の写真、販売予定業者と販売時期の表を貼り付けた。「さらに見やすく分かりやすくなるように吹き出しなどをたくさん使って文字を囲ったり、イラストを書いたり、色使いを考えたり」と工夫を凝らした。

 切り抜いたそれぞれの記事に「多くの米の備蓄を知り安心できる」「問い合わせが多くて前倒しで販売されたことに驚いた」など、自分の思ったことや感じたことをまとめている。

 夏休み中に毎日1時間程度、15日ほどかけて仕上げた。「お米の大切さを強く感じることができたし、いつもあることが当たり前ではないと、すごく思いました」と、貴重な学びを実感していた。(福元久幸)

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