「日本の諸地域」のうち「北海道地方(北国の自然を生かした観光産業)」を紹介します。単元を貫く問い「北海道地方の自然環境は、人々の生活や産業にどのような影響を与えているのだろうか」を探究する中で、北海道の観光業の持続可能な発展に向けて必要なことについて考察する学習です。

 この単元を貫く問いに迫る上で、資料の活用の工夫が重要になります。資料は生徒が学習を深めるためのよりどころです。国立教育政策研究所の調査では「複数の資料を組み合わせて考察することに課題がある」と指摘されているように、生徒が資料を吟味する学習場面の設定が重要視されています。

 また、資料の活用について中学校学習指導要領の「解説」は「年表や地図、文献、図版、写真、統計資料などさまざまな資料の活用」を示しています。資料の活用は多様であり、札幌市などが導入した北海道新聞社の総合デジタル教材「まなbell」のようなICTの活用により、広がりが期待されます。

 授業の導入では、教科書(帝国書院)に掲載されている「北海道を訪れる外国人観光客数の変化」のグラフを提示し、観光客数の増加とともに知床半島で問題となっている動物への餌やりに関する新聞記事を紹介します。昨今、全国各地でもクマが目撃されるという報道が相次いでおり、生徒自身が日常生活の問題として扱えるのではないでしょうか。

 展開前半では、餌やりに対し罰金を科す政策の是非に関して生徒が意見を交流することで、一つの社会的事象に対する見方を広げていきます。すなわち協働的な学びです。その際、自分の考えが観光客側・行政側のどちらの視点に基づくものかを捉え直すことで思考が整理され、「北海道の自然に対する行政や観光客の共通の思いとは何だったのだろうか」に対する生徒の気付きを促していきます。

 展開後半では「本当に自然保護と観光の両立ができるのか」と問い返すことで、自然環境と共存した観光の発展の在り方について深く考えていきます。その際、教科書にある「知床五湖周辺で設置された高架木道」の写真や新聞記事「自然・歴史・共生の機運 知床」を提示。北海道の観光産業の歩みを理解するとともに、自然保護の視点を重視した未来志向の観光業について、生徒が主体的に考えていく学びにつなげていきます。

 最後の「振り返る」学習活動の場面では、まなbellの新聞作成機能などを活用し、学級全体で学び合ったことを共有することで「何を学んだか」だけではなく、「学んだことをどう使うか、どのように社会と関わるか」など「次の学びのステップ」へと発展させていきます。

 問いとセットになった資料活用の工夫を一つの手だてに「子どもの主体的な学びを支援する伴走者」として、未来志向の教育課程を実現させましょう。