<NIE授業 新時代>自分の考え コラムに*高校1年総合的な探究の時間・新聞記事で情報収集*志田淳哉(札幌南高主幹教諭)
掲載日:2025.11.24
高校学習指導要領の総合的な探究の時間では、横断的・総合的な学習を行うことを通して実社会や実生活と自己との関わりから問いを見いだし、自分で課題を立て、情報を集め、整理・分析して、まとめ・表現することを目標の一つとしています。
新聞の1面にあるコラムは、記者個人の考えや経験が反映されやすく、同じ題材でも切り口が多様であり、生徒一人一人の興味や関心に寄り添う教材ともいえます。このコラムの特性を利用して、情報活用能力や言語能力など全ての学習の基盤となる資質・能力も重視した実践を紹介します。
《1》コラムを知る
本校では全国紙4紙と北海道新聞を購読しており、学校図書館と連携して、いつでも読み比べができるようにしています。同じ題材のコラムを用意(本年度は長嶋茂雄さん逝去、大阪・関西万博、陸上世界選手権、ノーベル賞など)し、各社の特徴をワークシートに記入させます。
私物のパソコンやスマホを使い、グーグルのクラスルームにコラムを配信するのも良いでしょう。一覧で読み比べができるよう本校では紙で生徒に配布しました。ワークシートは4人一組のグループで共有し、コラムの多面的・多角的な視点に気付かせます。
《2》コラムの書き方を知る
次に実際にコラムの執筆に取り組みます。同じ題材を扱った新聞社のコラムを読み、その同じ題材で今度は自分でコラムに挑戦します。グーグルのドキュメントを利用して書きます。前回の取り組みと同様に4人一組のグループで、良い点などのコメントを入力し、書き手と読み手の視点を学びます。
《3》興味・関心がある新聞記事からコラムを書く
新聞には政治、経済、社会、人文、科学、芸術、スポーツなど幅広い記事が掲載されています。「世の中の動き」や「ものの見方や考え方」について広く効率的に情報を収集することができます。家庭で購読している新聞や学校の新聞を利用し、自分で記事を選びます。その過程で情報収集能力の向上や実社会と自己との関わりを意識できます。こちらも前回と同様にグーグルのドキュメントを利用してコラムを書き、4人一組で意見交流=写真=をします。

《4》コラムを完成させる
自分が選んだ新聞記事の題材から疑問や問いが生まれ、これまでの知識や教養から切り口を工夫して書いたコラムの文章は、読み手にどう伝わるのか。前回の協働作業で得た情報を取捨選択し、コラムを改善し完成させます。本校は希望者には北海道新聞社の「ぶんぶんtime」への投稿を通して、新聞記者からの感想を得ています。
GIGAスクール構想で小中学生から一人に一台の端末が整備された結果、端末で校正し、即座に同じ文章を多くの生徒が読みコメントをすることも可能になりました。このように協働作業は端末上で行っています。ただし、本校では、最後は原稿用紙に手書きで書いてコラムを完成させます。書くという表現方法も大事にしたいものです。
