どのような進路にしようかと悩みます。大学に進学をしたいと思ってますが、やりたいことや学力ではなく、親の金銭的な負担を考えて、自宅から通える大学がいいのかなと考えてしまいます。大学生の兄や中学生の弟は、そんなことを気にしている様子はないです。そのことも「モヤモヤ」します。

回答者 上山浩次郎さん(北大大学院教育学研究院准教授)

  僕は、進路選択が人によって異なることについて大学で講義をしています。具体的には親の豊かさ、性別の違い、育った地域、きょうだいのあり方(数や生まれた順番)などによって、大学への進学のしやすさが異なります。
 これは、実は教育機会の不平等という研究テーマの講義です。あなたが感じていることは、性別による教育機会の不平等の一つの現れと感じました。そうした研究からは、女性ほど大学に行きにくいことや自宅から通える大学を選びやすいことが指摘されています。
 講義のあと、学生さんに感想をお願いすると、あなたと同じような内容を教えてくれる人が一定数います。女性からだけでなく男性からもです。もちろん、昔と比べれば分かりやすい性別の不平等は減っていると思います。また「親が男のきょうだいと平等に接してくれた」と教えてくれる学生さんもいます。
 ただ、全く無くなったというわけではないでしょうから、性別による不平等はいまだにあると言わざるを得ません。また、お兄さんや弟さんとの違いからは、きょうだいの中での不平等という側面もあるといえそうです。
 そうした点を「モヤモヤ」と感じられることは、とても大事なことです。その違和感は大学、特に人文社会科学(高校生のあなたが慣れている言葉でいえば「文系」)での「勉強」をする上で重要なきっかけになるからです。
 あなたの悩みが性別やきょうだいによる教育機会の不平等の一つの現れとして理解できるように、人文社会科学での学びの対象の多くは、ふだんの生活の中にこそあるからです。
 逆に、いつもの生活に「モヤモヤ」を感じられることは、もう大学での学びの第一歩を踏み出しているとも言えます。よければ大学で一緒に学びましょう。お待ちしています。

 小中高生や保護者のよくある悩みと、解決へ向けた考え方を過去の相談事例などを基に紹介します。