Q 病院で検査を受け、僕の知能指数(IQ)は130であることが分かりました。周りと話が合わないので苦労するとも言われました。知能が高いだけで生きづらいものなのでしょうか。
回答者 岡田智さん
(北海道大学大学院教育学研究院付属子ども発達臨床研究センター准教授)
A 知的能力がある一定以上高い人は、米国ではギフテッドと呼ばれることがあり、特別な教育をうけることがあります。実際のところ、専門家が用いる検査でIQが130以上ある人は100人中2人くらいはいます。知的能力が高いことは特に珍しいことではなく、あなたの高校でも同学年に数人はいることでしょう。
一部の専門家や教育学者などは、ギフテッドの人は知的能力が高いがゆえに周りと合わず、生きづらい状況になってしまうと説明しています。ただ、私の25年くらいの発達相談の経験の中でも、知的能力が高いことだけで生きづらい状況になった人はほとんどいませんでした。
IQが高い人でも、生きづらさを感じていた人の多くは、人間関係やコミュニケーションの能力、注意力や衝動性をコントロールする力などが乏しかったり、感覚の面で過敏性を持っていたりする人たちでした。つまり“知的に高い”ことに加え“別の側面の困難”がある人たちでした。
これは2重の例外を持っている状況で、しばしばTwice Exceptional(2E《ツーイー》)と言われます。もしあなたが人間関係や集団生活、それか学業の面でうまくいかず苦痛を感じているようでしたら、自身のウイークポイントについて、病院の主治医やカウンセラーに相談してみるとよいでしょう。
ただ、人はだれしも多かれ少なかれ得意・不得意や能力的なアンバランスを持っています。自分の苦手な側面は、特にひどく困らないようであれば苦手なままで受け入れ、自分の得意なところで頑張っていくというのがお勧めです。
私たち大学の先生たちも、ほとんどが能力的に偏っているように感じます。そして得意な分野を突き詰めていき、それを仕事にしてしまっている人たちが、研究職や大学教員であるといってよいでしょう。ぜひ、あなたも自身の苦手さともお付き合いしながら、自分の得意をいかしていくとよいでしょう!!
質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。