高校で学ぶ数学の内容は、将来役に立たないものも多いように感じます。また、大学に進学するつもりですが文系を選択する予定なので、勉強する気もおきないし、そもそも勉強する必要性をあまり感じません。文系志望でも数学の知識は必要ですか。

回答者 上山浩次郎さん(北海道大学大学院教育学研究院講師)

  こうした悩みは、一定数の高校生が感じていると思います。僕が高校生の時も、文系を志望する人の多くは、僕自身を含めて、そう感じる人が多かったと思います。また大学生になっても、数学が苦手なまま・嫌いなままで過ごしている人は、これも僕自身を含めてですが、多かったと思います。
 そうした生徒・学生が多かったからか、数学の勉強を奨励する書籍が出版されていました。そこには、数学が「役に立つ」ことや、そもそも「楽しい」ものだということが書かれていました。僕も実際に読んで、「そうした側面はある」と感じました。類似した書籍は、今も出版されていますので、ぜひ、手に取ってみてほしいです。
 さて、今の高校生の皆さんにとっては、数学はより必要になってきたといえると思います。なぜなら、大学で学ぶさまざまな文系分野で、数学の知識が前提とされることが増えてきたからです。
 例えば、文系分野の代表的な例として経済学がありますが、学習するには数学の知識が必須です。これは、経済学の理論を学ぶ時に必要なだけなく、理論を用いてデータ分析をする時にも必要になります。また政治学でも、数学的な考え方が使われることが増えてきていると聞きます。これらの点は、最近、早稲田大学政経学部の入学試験で数学が必須科目になったことから、知っている人もいるかもしれません。
 心理学でも、いくつかの分野の学習には統計学の知識が必要ですが、統計学を理解するには一定の数学的な知識が必要です。僕が専攻している教育社会学という分野も同様で、統計学の知識があると学べる内容が格段に増えると感じます。
 このように大学では文系分野でも数学を学ぶ必要性が高まっています。まずは、こうした点を心にとめておいてください。

 質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。