NIEニュース
北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

悩みごとナビ

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 小中高生のよくある悩みに答えます。執筆者は、子どもの心理を研究する北大大学院教育学研究院付属子ども発達臨床研究センター(札幌)と、電話相談に応じている元教員グループ「北海道子どもセンター」(札幌)の先生方です。取り上げてほしい悩みやテーマをお寄せください。

国際結婚 子どもはバイリンガルに(20代女性)

  英国人の夫と結婚して、日本に住んでいます。国際化の進む時代、これから生まれるわが子には、せっかくなので日英どちらの言葉も話せるようになってほしいです。どのように子どもとかかわればバイリンガルに育つでしょうか。

回答者 伊藤崇さん(北大大学院教育学研究院准教授)

  相談者のように、家庭の中で二つの言語が日常的に飛び交う場合、お子さんにバイリンガルになってほしいと思う方は少なくないでしょう。このようなご家族では、赤ちゃんに対してそれぞれの母語(第一言語)で話しかけようと、ご両親の間で約束をするケースがしばしばあります。相談者の場合は、お父さんが英語で、お母さんが日本語で話しかけることになります。
 ですが、お子さんが成長するとともに、当初の約束は守れなくなることが多いようです。なぜなら、お子さんは必ずしも話しかけた親の言葉を用いて会話しようとはしないからです。
 英語で話しかけてきたお子さんに、お母さんは日本語を使い続ける自信があるでしょうか。日本語で言い直すよう要求したり、日本語の間違いを訂正したりしようとすると、お子さんはお母さんに話をすること自体がイヤになってしまうかもしれません。お子さんはお母さんに伝えたいことがあって話しかけるのですから、自然な反応だと言えましょう。ある調査によれば、二言語が用いられる家庭であっても、結局はどちらか一方の言語だけを使うようになる場合が多いようです。話をしたいというお子さんの動機をご両親が大事にしてあげた結果だと言えるかもしれません。
 二言語家族で育った子どもが自然と完璧なバイリンガルになるかというと、実際は必ずしもそうではありません。一方の言語はほぼ流ちょうに使いこなす人でも、もう一つの言語はある程度話したり書いたりできるレベル、聞けば理解できるレベル、まったく分からないレベルまで、実にさまざまです。まったく分からないレベルの方でも、成長して大人になってから、あらためて一方の親の言語を学ぼうと努力する方もいます。
 家庭と言語教室は違います。生まれてくるお子さんが伝えたいことにしっかりと耳をかたむけて、豊かな会話をご家族で楽しまれるのがよいかと思います。

 いとう・たかし 北海道大学大学院教育学研究院准教授。専門は言語発達論・発達心理学。1975年茨城県出身。

 質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。

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