開催によせて

NIE全国大会札幌大会実行委員長
菊池安吉

NIEの魅力を全国に発信

 1930年代にアメリカで産声を上げたNIE活動は世界に広まり、日本では1996年から日本新聞協会が実践指定校への新聞提供や研究・PR活動を積極的に推進してきました。同年の東京大会を皮切りに、全国のNIE実践者と新聞界、行政関係者が一堂に会し交流を深める全国大会も大切にしてきました。
 第26回NIE全国大会札幌大会は、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底したうえで、現地での開催とオンデマンド配信を準備しておりましたが、その後の感染状況を鑑み、昨年の東京大会に続き、オンライン開催となりました。北海道・札幌市のさわやかな夏空の下で、全国から参加する皆さんと交流を図ることを楽しみにしておりましたが、叶わず残念です。しかし、北海道から発信する実践が色褪せることはありません。
 本大会のスローガンは「新しい学びを創るNIE~家庭、教室、地域をむすぶ~」です。学習指導要領が、学校・家庭・地域で共有できる「学びの地図」の役割を果たし、教材の宝庫である「新聞」活用が明記されました。情報を入手する手段が多様化する中で、新聞・テレビ・雑誌・書籍・インターネット・ネットニュース・SNSなどの長所と短所を理解し、情報源の信頼性や情報の真偽や意図を見極め、情報を読み解く「メディアリテラシー」を育てることが喫緊の課題です。コロナ禍においても「新聞」というメディアが持つ良さは揺らぎません。
 分科会においては、アイヌ民族の歴史や文化・人権、北海道の食・地域学習、探求活動、小規模校のNIE、特別支援学校・特別支援学級におけるNIE、金融学習、SDGs(持続可能な開発目標)、学校図書館とNIE、GIGAスクール時代におけるNIEとICT、日本遺産「炭鉄港」など、発表者の地域的広がりと共にテーマは多彩です。新聞記事データベースの活用も含めて様々なNIEの取り組みを発信します。
 最後になりましたが、主催の日本新聞協会、ご協力いただいている北海道内の各新聞社、通信社、本大会開催のためにご尽力いただきました関係者の皆様にお礼申し上げます。

日本新聞協会会長
丸山昌宏

学校と地域をつなぐ一助に

 第26回NIE全国大会札幌大会にご参加いただき、まことにありがとうございます。
 昨年来、教育現場ではGIGAスクール構想のもと、全国の児童生徒に一人一台端末が配布され、ICT化が進んでいます。しかし、全ての学びの土台となるのは、言語を通じて情報を読み解く力、読解力です。また、初等教育においては、五感を使って周囲と関わりながら学ぶ経験も重要です。昨年度から順次実施されている学習指導要領の総則には、新聞活用が盛り込まれました。紙の新聞を開いて記事を探すことから始まるNIEの重要性は、今後ますます高まると考えています。
 本大会のスローガンは「新しい学びを創るNIE~家庭、教室、地域をむすぶ~」です。新聞には、地域・社会の出来事や課題がニュースや論説、投書など多様な形で日々掲載されています。学習指導要領には「社会に開かれた教育課程」の実現がうたわれ、学校と地域の連携が求められています。ここでも、新聞は大きく貢献できると考えています。本大会が、学校、そして地域と家庭をむすぶ新聞の可能性について考える機会となることを期待しています。
分科会では、小・中・高校の公開授業をはじめ、北海道という地域の特色を表した多彩なプログラムを用意しております。大会を通じて、新聞活用の意義を広く共有していただければ幸いです。
 本大会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨年の東京大会に続き、オンライン開催となりました。対面での交流はかないませんでしたが、場所と時間を選ばないオンデマンド配信によって、より多くの教育関係者の方々に参加いただくことが可能となります。この機にNIEのすそ野が広がることを願っております。
 最後になりましたが、大会開催にあたり、主管社である北海道新聞社、北海道NIE推進協議会をはじめ、多くの関係者の皆さまのご尽力に対し、主催者を代表して心より御礼申し上げます。

北海道知事
鈴木直道

新たな時代を生きる力を育む

 第26回NIE全国大会が北海道において開催されますことをお喜び申し上げますとともに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、オンラインによる開催にご尽力をいただいた関係の皆様に、厚く御礼申し上げます。
 少子高齢化の進行やグローバル化の進展、さらには、人工知能等の先端技術が産業や社会生活の様々な場面で取り入れられるSociety5.0時代の到来など、今、私たちは時代の転換期を迎えています。
 新たな未来を切り拓き、産業や社会、文化を将来にわたり発展させていくためには、自ら新しい課題を探求する意欲と解決するスキルを持ち、創造的な価値を生み出す人材の育成が重要であり、学校や家庭、地域、産業界等との連携・協働のもとで、次代を担う子どもたちの可能性を引き出す教育の推進が一層求められております。
 こうした中、「新しい学びを創るNIE~家庭、教室、地域をむすぶ」をスローガンに、本大会が開催され、新聞の特色を活かした多様な教育活動の優れた実践の成果が全国に広く共有されることは、大変意義深いことです。学校や家庭の学習活動に新聞の活用が図られることは、子どもたちが社会への関心を高め、現代的な諸課題に目を向け、自分のこととして考える力を身に付けることに資するものであり、本大会を契機として、NIEへの理解が一層深まり、自らの希望を叶え、幅広い分野で活躍できる人材の育成につながることを期待しております。
 道では、昨年3月に改定した「北海道総合教育大綱」に基づき、道民一人ひとりが、幅広い知識と教養の習得等により、社会情勢の大きな変化に適応し、新たな時代を生き抜いていけるよう、教育・人づくりに取り組んでいるところであり、今後とも、教育委員会など関係機関と一体となって、夢や希望へのチャレンジを応援する北海道づくりを進めてまいります。
 結びに、本大会が皆様にとって実り多きものとなることを心から願いますとともに、参加される皆様のご健勝とご活躍を祈念し、ご挨拶といたします。

札幌市長
秋元克広

2021札幌大会の成功を祈念して

 大通公園の噴水が短い夏の太陽に美しく光り、さわやかな風に時計台の鐘の音が鳴り渡る、ここ札幌で第26回NIE全国大会 2021札幌大会が開催されますことに、心よりお喜び申し上げます。
 今大会は、新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、オンラインを中心とした開催となりました。全国の皆様に当地に足を運んでいただくことが叶わず、大変残念ではございますが、関係者の皆様の様々な工夫と努力により、無事に開催できましたことを嬉しく思います。
 さて、近年はIT技術の急速な進歩と普及をはじめ、社会情勢が急速に変化しており、子どもたちが未来社会を切り拓いていくために、地域や社会の中で課題を見つけ、解決に向けて行動する力や、情報を取捨選択し、読み解く情報活用力が求められています。
 そのような中、NIEにおかれましては、膨大な情報が行き交うインターネット社会で、正しい情報を取捨選択し、読み解く情報活用力の育成や、社会への関心を高め、自分のこととして考えを深める主権者教育の充実を目指し、実践指定校による取組や、勉強会・セミナーの開催、新聞記者による出前授業の実施など、子どもたちの将来を見据え、教育の充実に創意工夫を重ねておられますことに、心より敬意を表する次第です。
 札幌市では、本市の教育が目指す人間像として「自立した札幌人」を掲げ、その実現のために、自ら学び、共に生きる力を培う学びを推進しております。本大会では、「新しい学びをつくるNIE~家庭・教室・地域をむすぶ~」というスローガンのもと、実践交流や議論が行われますが、そこで深められた「新しい学び」が、札幌市の推進する教育の更なる充実・発展に貴重な示唆を与えるものと期待しております。
 結びになりますが、今回の札幌大会の開催に当たりましては、多くの皆様のご尽力に改めて感謝を申し上げますとともに、NIE活動のますますの御発展、並びにご参会の皆様方のご活躍を心から祈念し、お祝いのご挨拶といたします。

北海道教育委員会教育長
倉本博史

主体的・対話的で深い学びの実現に向けて

 北海道教育委員会教育長の倉本でございます。
 第26回NIE全国大会が本道で開催されますことに、心からお祝い申し上げますとともに、一言、御挨拶申し上げます。
 未だ収束の見えない新型コロナウイルス感染症の影響により、本大会は、昨年に引き続き、オンラインでの開催となりましたが、本日の開催を迎えるまで、大会の準備に当たっては大変な御苦労があったものと拝察いたします。
 御尽力いただきました関係者の皆様に対しまして、深く感謝申し上げます。
 さて、文部科学省の定める「学習指導要領」の改訂が行われ、中学校においては本年4月から、高等学校においては来年度から、新しい学習指導要領が順次実施されるわけですが、改訂のポイントとして、教育内容の主な改善事項の一つに「言語能力の確実な育成」が示されており、特に、国語においては、「語彙の確実な習得」、「主張と論拠の関係や推論の仕方」など、情報を的確に理解し効果的に表現する力の育成が求められているところです。
 また、各教科等においても、「自らの考えを表現して議論すること」、「観察や調査などの過程と結果を整理し報告書にまとめること」など、学習の基盤としての言語活動の充実が求められています。
 こうした中、NIE実践校におきましては、国語や社会、総合的な学習の時間や総合的な探究の時間などにおいて、新聞記事を活用してグループディスカッションを行い、意見を伝える能力を高める活動などが行われているものと承知しております。
 このような実践は、まさに、新しい学習指導要領で示されております「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の参考となるものであり、課題解決のために必要な思考力、判断力、表現力等を養い、個性を生かし、多様な人々との協働を促す教育の充実に資する取組であると言えます。
 本大会では、「新しい学びを創るNIE」をテーマに、実践校による公開授業、実践発表などが配信されます。
 取組の成果を共有することにより、全国の学校教育のさらなる改善・充実につながるものと大いに期待しております。
 結びに、日本新聞協会をはじめ、本大会の開催に御尽力いただきました関係者の皆様に心から感謝申し上げますとともに、本大会の成功と、御参会の皆様の今後ますますの御活躍を祈念申し上げ、挨拶といたします。

札幌市教育委員会教育長
檜田英樹

新聞の活用を通して質の高い学びの実現を

 第26回NIE全国大会が19年ぶりに札幌市で開催されますことに、心からお祝い申し上げます。また、本会の会員の皆様が、これまで新聞を活用した教育活動に熱心に取り組まれ、豊富な実践を広く御提供いただいておりますことに、深く敬意を表します。
 教育現場では、新型コロナウイルス感染症の影響による学びの保障への対応や国のGIGAスクール構想による1人1台端末の取組などにより、子どもたちがICTを日常的に活用する学習が急速に広まっております。
 子どもたちにとって、情報を得る手段は身近に、そして、得られる情報も豊かになりましたが、今後さらに進む情報化社会において、主体的に情報源を選択し、内容を精査、判断し、考えを形成していく力を身に付けるためには、各学校段階による情報活用能力の着実な育成が大切となります。
 新聞は、様々な分野から信頼性の高い情報を報じているマスメディアです。記事を読むことで社会の課題を知り、仲間と議論する学習や、課題の解決に向けて記事を取捨選択し、自分の考えを築き発信する学習など、教材として活用の幅が広く、発達の段階や教科のねらいに応じて取り入れることができると考えます。
 本大会では、「新しい学びを創るNIE」がスローガンとして掲げられ、新聞の活用を通して、子どもたちが主体的に思考し、判断し、表現する学びの姿や、他者と協働して課題解決に向かう学びの姿を提案する実践研究が行われてきたと伺っております。
 札幌市においても、学校教育の重点の一つに自ら課題を見付け、自ら学び、自ら問題を解決する資質や能力等の「学ぶ力」の育成を掲げており、「自ら疑問や課題をもち、主体的に解決する学習」を「課題探究的な学習」と定義し、授業の充実を図っているところです。
 本大会の実践は、今後の札幌市の教育にも貴重な示唆を与えるとともに、実践の成果が広く共有され、全国各地の学校教育における質の高い学びの実現につなげていただけることを期待しております。
 結びに、本大会の開催にあたり、日本新聞協会をはじめ、御尽力いただきました皆様方に深く感謝申し上げますとともに、御参会の皆様方の御活躍を心から祈念し、挨拶といたします。

北海道新聞社代表取締役社長
宮口宏夫

充実した分科会 北の大地から

 全国の教育関係者の皆さま、そして新聞社・通信社の皆さま、第26回NIE全国大会札幌大会へようこそ。主管社を代表して心より歓迎の意を表します。
 札幌では2002年の第7回以来、19年ぶりのNIE全国大会の開催です。本来であれば、大勢の方が会場に直接足をお運びになり、2日間にわたって熱心な研究と活発な議論が行われるところですが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてオンライン開催となったことは残念です。しかしながら、北海道の関係者が長い時間をかけて準備してきた成果は全体会と分科会の双方で十分に発揮されるものと確信しています。オンデマンド配信を通じてさわやかな北の夏のひと時をともに過ごしていただければ幸いです。
 本大会のスローガンは「新しい学びを創るNIE〜家庭、教室、地域をむすぶ〜」としました。学習指導要領の総則に新聞活用が盛り込まれ、教育現場では新聞記事を教材とする実践が日々積み重ねられているところです。その取り組みがしっかりと根を張り、所期の目的を果たしていくために、家庭と地域においても新聞を手掛かりとする営みが広がり、教室での学びとさまざまな形でつながっていくことを願ってのことです。
 北海道はNIE活動が盛んな土地として知られています。実践指定校は36を数え、全国有数です。今回、北海道大学のキャンパスをお借りして実施する予定だった分科会をやむを得ず動画配信方式に切り替えるのに際しても、関係者の多くが変わらずに参加の意向を示され、充実した形で公開授業、実践発表などをお届けできることになりました。きっと参考にしていただけることでしょう。
 最後になりますが、大会を開催するにあたりまして、主催者の日本新聞協会、共催者である北海道教育委員会、札幌市教育委員会をはじめ、ご尽力いただきました全ての関係者の皆さまに主管社として衷心より感謝を申し上げます。

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