出版本「身になる読書術」と大居雄一さん

大居さんが生徒に配布しているクラス通信「毒書生活」

 「夢中になれる一生のお宝本と出会ってほしい」。子どもたちへのそんな願いを込め札幌市立北辰中の社会科教諭大居雄一さん(36)が「13歳からの『身になる読書術』」(メイツ出版)を出版した。全69章のテーマ別で厳選した約200冊と読み方、探し方を平易な語り口で紹介している。
 「文学をもっと『手軽』に」「経済の本なのに、異様に面白い」「美しすぎる歴史絵本」…。キャッチコピーのようなテーマは小説から数学、地図、人工知能、食、漫画などジャンルは森羅万象にわたる。
 読みたい本の探し方ではオンライン書店よりも実際の書店に行ったり、新聞の広告や書評欄を活用したりするのも楽しいと書く。
 本の下敷きとなったのが北辰中で生徒に配布するクラス通信「毒書生活」だ。裏表1枚のカラー印刷でお薦め本の寸評と写真、イラストを掲載。社会科の授業に合わせ随時発行した。約2年で100号を超え、生徒の保護者からの手応えもあったという。これが出版社の目にとまった。
 「読書は知らない世界の入り口に立つことができる」。大居さん自身がその喜びを知ったのは明治大学在学中、日本語に関する数々の著作で知られる齋藤孝教授の授業を受けてからだ。課題の週10冊を読んで友人に薦めるうち、作家の阿刀田高や寺山修司らの面白さに目覚めたという。
 大学卒業後、銀行マンを経て念願の教職の道に進んだ。本の虫は「学ぶ時は足を運ぶ」をモットーに、これまで国内の書店や欧州の美術館巡りにも出かける。
 大居さんは新型コロナウイルスの感染拡大で休校中の子どもたちに対し「外出がままならない時期だからこそ歴史を学び、新しい時代をつくるヒントを得てほしい」とエールを送る。
 A5判。144ページ。1720円(税別)。主要書店のほか、公共図書館などで扱っている。(森田一志)