新聞を教材に学ぶNIEに取り組む学校は、「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト=学テ)の平均正答率が全国平均を上回る傾向にあることが分かった。日本新聞協会が今年2月に発表したNIE実践校のアンケートによるもので、朝学習などで活用するNIEタイムがプラスされると、正答率がより高くなる効果が生じている。(森田一志)

 

 アンケートには北海道内を含む全国のNIE実践校のうち、小学校47校、中学52校の計99校から回答があった。日本新聞協会が昨年4月の学テでの国語と算数・数学の正答率をベースに集計した。
 日常的な実施校(週1回以上)の平均正答率は全国平均より小学校国語が4.8ポイント、算数で3.1ポイント、中学国語3.6ポイント、数学で2.2ポイントそれぞれ上回った=表(上)=。
 朝学習などのNIEタイムを行う場合はどうか。新聞をスクラップし、感想や意見などを書く実施校を見ると、国語の平均正答率は小学校で全国に比べ4.5ポイント、中学で1.9ポイントともに高かった。
 週1回以上の日常的な実施校の中から、NIEタイムを行う学校を抽出すると、国語の平均正答率は、小学校が全国より5.4ポイント、中学は4.5ポイント・算数は3.3ポイント、数学は2.6ポイント上回った=表(下)=。いずれも日常的なNIEだけの実施校より正答率は高かった。
 NIE実施後の小中学校国語の「書く力」「読む力」の変化に関しては小学校の方が伸びを感じており、アンケートの43校が「書く力」、45校が「読む力」が伸びたと回答した。NIEタイム実施校からは児童が「自分の意見や感想を書けるようになった」「書く時間が速くなり、量も増えてきた」などとの報告があったという。

札幌国際大 大村勅夫准教授*「伝わる書き方」で情報共有

 新聞協会の調査について札幌国際大学准教授の大村勅夫さん(46)に高校教諭時代の体験談を交え寄稿してもらった。

 このアンケート結果から、NIEの実践が「学ぶ力の向上に有効」ととらえられるでしょう。おそらくNIEを実践している全国、全道の先生方も同じ考えだと思います。私も高校の教育現場にいた時から「新聞は国語の力をつけるためのアイテムとして有用だな」と考えてきました。
 例えば、書く単元の学習では新聞の1面記事を参考に指導しました。記事は重要な部分から書いていく「逆三角形」の構造で、結論が文章末にあるいわゆる「尾括型」とは異なり、文章にはいろいろなスタイルがあることを提示するのです。授業は生徒の考える力を育むためグループ討議で進め、一人一人が実際に書くことで終えました。
 大学入試の小論文でも、限られた時間で文字数に大きく制限がある場合には、大事なものをまず書き、背景などをそれ以降に書く方法もあります。
 新聞にはいくつもの特徴があります。その速報性や記事の多様さは「話す・聞くこと」「読むこと」に即応したものになります。話題にしてみたいタイムリーなものは意見や感想を言い合う・聞き合うための刺激となりますし、多種多様な記事はテキスト内容を読み取ろうとする姿勢への契機となります。
 「知識及び技能」に適応しているものも新聞の中にはふんだんにあります。例えば、見出しなどもその一つです。「どんな言葉をどのように省略することができるのか」といった観点を持たせようと私も高校で実践していました。ただ、新聞は何よりも「書くこと」についての貴重な学習材であると考えています。
 「書くこと」とはすなわち「他者に伝わるように表現すること」です。新しい学習指導要領においても、教科国語のポイントの一つに「共有」があります。
 ある情報や考えを自分と他者がしっかりと共有できるようにすること。何かを誰かに伝わるように説明すること。その手段の大きな一つが「書くこと」であり、新聞はその有効な模範例です。新聞記事って、不特定多数の読み手をものすごく意識して書かれている文章ですよね。そこには「読み手に伝わるようにするにはこんな書き方をしてみるといい」というヒントがあります。
 新聞からはそんなことも学んでみたいのです。

 おおむら・ときお 専門は国語教育、古典教育。静内農業高、旭川東高を経て2019年4月から現職。東北大、北海道教育大の大学院を修了。札幌市出身。