<ほっかいどうサイエンス>5*おいしいコメ作るには*複数品種の長所生かす
掲載日:2011.08.29
最近、「ゆめぴりか」に代表されるようなおいしいコメが次々に登場していますね。
新しいコメは、今ある種類の中で違う長所を持つものをかけ合わせて作ります。これを「品種改良」といい、味だけでなく炊きあがりがきれいで、寒さや病気に強いものを作るため、全国の農業試験場などが研究しています。
コメは苗から育て、やがて「もみ」と言われる、殻に覆われた部分ができます。この中で、おしべの花粉がめしべにつく「受粉」が起きると、やがてコメが実るのです。
品種改良はこの受粉を人工的に行いますが、すべて人の手でこつこつやっています。
道内で作業ができるのは、7月下旬~8月中旬。試験場の田んぼで育てたもみを指でつまみ、上の方2か所をはさみで切り取ります。もみの長さは7ミリほどですから、受粉に使うめしべを切らないよう注意が必要です。
次に、真空ポンプにつながったチューブの先を2ミリほどの切り口に差し入れ、おしべだけを吸い取ります。大変そうでしょう?
めしべを残したもみに別の種類の花粉をかけ、袋で覆うと作業は完了です。
これで実った「子」を育て孫、ひ孫、さらにその子まで増やします。「ゆめぴりか」を生んだ上川農業試験場(上川管内比布町)では年間約100通りを受粉させて10万種類まで増やし、さらに6~8年かけて選び抜きます。しかし、新しいコメとして認められる品種が、毎年生まれるとは限らないのです。
地道な努力から作られるおいしいコメ。大切に食べなくてはいけませんね。
(道小学校理科研究会・増谷 忍=札幌市立北野平小教諭)